香港の地下鉄(MTR)に載っていると、それぞれの駅名が実に様々な色で彩られているのにお気づきになるのではないだろうか。日本は理路整然と ルールにのっとった設備作りがされているので、ここ香港の駅ごと違いについては、筆者も長年不思議に思っていた。
そんな時 地元のSouth China Morning Postに このMTRの駅の色に関する記事をみつけたので、ここで内容の紹介と補足をしていきたい。
香港のMTRは、やはり駅ごとに意図的に 色分けがされているそうだ。
理由は幾つかあげられるが、それはMTRが開通をした1970~80年代に遡る。
まず 地下に駅を作るという事で、景色がない世界がひどく陰気で暗かった。その為、白色で明るくしようとしたが、どの駅も同じになってしまう。
結果、誰でも認識できるようなカラフルな色を使って、それぞれの駅の区別しようとした。実は当時の香港では義務教育が始まったばかりで、まだ読み書きができない人も多かった為に 色による区別は大きな役割を果たすと考えられた。
実際、様々な人種が生活する国際都市として大きく飛躍した現在も、この色による分別は とても役立っているのではないだろうか。
香港にはこうした色やマーク・記号・音によって識別できるシステムが発達しているように思う。
英語も広東語も分からない人など、どんな人にも分かりやすいシステム作りの中の一つが、このMTRの駅の色分けなのだと思う。
鮮やかな明るい緑のジョーダン駅
それでは、どうやって駅ごとの色を決めているのだろうか?
決定には幾つかの方法がとられているようだ。
まず、大きなハブとなる駅については赤が採用されている。これは、人々に「この駅で乗り換える必要がある」というアラート代わりの意味がこめられているようだ。
赤のモンコク駅
若者に人気で常に混み合うモンコク駅。香港で人口が多い駅の一つであり、赤色が取り入れられている駅の一つでもある。
また、隣り合う駅についてはなるべく違う色を採用するように配慮されている。
そして、駅名に使われている漢字を取り入れて、色を決めることもある。
たとえば、黄大仙寺院は黄色のタイルで装飾され、プリンスエドワード(太子)駅は英国王室関連に利用される紫色が取り入れられている。
ピンクレッドのライチーコック駅
ライチーコック駅は、ライチ色に似せたピンクレッド色が採用されている。
レインボーカラーのチョイフン駅
チョイフン駅は、虹色の漢字からレインボーカラーを取り入れた駅となっている。このチョイフン駅はインスタ映えの「虹色マンション」へ行くための駅としても有名。
また、駅の回りの環境にちなんだ色にする事も多いようだ。
たとえば、新しくできたウォンポア駅は海に近いことからブルー色を取り入れている。
このように、香港の駅は実にシステマティックにできている。普段何気なく利用している駅だが、色々と話を聞くと実に面白いストーリーが隠されているように思う。
また、実は「インスタ映え」にもこれらの駅は大活躍している。このカラフルな駅のタイル貼りが魅力的に見えるとのことで、駅名を集めてカラーチャートのように並べてみたり、駅名と一緒に可愛らしく写真を撮ってSNSに投稿するのが流行っていようだ。
きっかけは色々あったようだが、さまざまな国から来ている旅行者や在住者にとって、駅の色はとても大事なものであり、香港の印象アップにも繋がっている。
皆さんもMTRに載る際は、ぜひ乗り降りする駅をじっくり観察して頂きたい。(文/写真 香港コーディネーター 矢島園子)
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