急速な都市部の経済発展に遅れを取り続けていた中国の農村地域。昔ながらの技術、方法による低効率な栽培を改め、最先端の科学技術を応用した現代型のスマート農業を取り入れて経済発展を目指す動きが各地で進んでいる。
長江下流域に位置する安徽省蕪湖市では、水田一面を黄金色に染めて頭を垂れたイネの収穫がピークを迎えている。イネの収穫自体は今も昔も変わらぬ「秋の風物詩」と言える光景なのだが、今年はスマート農業を実践する農家が増え、田んぼではこれまで見られなかったさまざまな「黒技術」が見られるようになった。
同市の三山経済開発区内にある田んぼを訪れると「スマート稲作デジタル化ハードウェア設備観測点」と書かれた標識が立てられており、立派に育ったイネたちの間に設置されているデータ処理装置がモニタリングデータをリアルタイムでバックグラウンドプラットフォームに伝送する。農家はスマートフォンのアプリを通じて土壌の栄養、灌漑の必要性、イネの生育状況を常に把握することができ、この栽培管理システムを導入したことでイネの収穫量が大きく増えたという。アプリ開発者によれば、このシステムはすでに全国の308の経営者が利用しており、栽培面積は1万3900ヘクタールを超えているとのことだ。
この栽培管理システムは田んぼに設置された観測設備と衛星、ドローンを使って、イネの成長を13段階に分けたうえで49項目の重要セクションについて分析し、農家に対して可視化データとともに栽培上の各種アドバイスを提供することが可能なため、適切な量とタイミングで施肥、除草、防虫、病気予防を行うことが可能。これまで全て経験と勘に頼っていた稲作管理をより科学的に行うことで、イネの収穫量が約10%増えるとともに、1ムー(0.067ha)あたりの栽培コストが100元(約2000円)以上削減できるという。
蕪湖市では近年積極的に農業への科学技術導入を進めており、現地では全行程のデジタル化を実現したスマート水稲栽培技術のほか、無人栽培水田、麦畑技術など100項目あまりの先進農業技術が取り入れられている。現地農家と科学研究機関が提携し、一定面積の土地を「試験田」として最新技術のテスト導入を行い、うまく行けば本格的な導入に移行するといった形で新しい技術がどんどん普及していく。「とりあえず試してみる」「いいものはすぐさま取り入れる」という精神が、中国農村部における「農業革命」を支えているのである。
(出典:https://share.gmw.cn/tech/2022-10/19/content_36097569.htm)
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