強制力の高いロックダウンと早期のワクチン接種開始により新型コロナの大規模感染を食い止めた中国だが、完全に感染が収まったわけではない。広東省広州市荔湾区では5月21日に新規感染者1人が見つかって以降6月8日午前0時までに計120人の感染が報告されている。現地の衛生当局は、感染者とともに濃厚接触者などの「重点人員」をホテルに隔離して集中健康観察を行うなど、感染拡大の食い止めに向けた迅速な対応を取っているとのことだ。
そんな中、現地では4日から隔離エリアに物資をスムーズに届けるためのツールが稼働している。同市にオフィスを構える企業により、同区の隔離エリアに生活用品などを配送する自動運転のバスや乗用車4台が提供され、隔離エリア内外を往復するようになったのだ。
自動運転車両は、エンジニアの命令に従って公道を無人走行し、搭載した物資を隔離エリア内の指定した積み下ろし場所まで運搬することが可能。到着後、現場の担当者が荷物を積み下ろし、ドアを閉めると自動でエリア外に戻ってくる。自動運転バスは一度に1.2トンの重量まで運ぶことができるため、往復の手間も大きく省けるのだ。
バスや乗用車を提供した文遠知行(WeRide)は、自動運転技術業界をリードするスタートアップ企業で、昨年7月には中国初の公道での自動無人運転実験をスタートさせたほか、今年4月には米カリフォルニア州でも無人運転試験のライセンスを取得したことが伝えられている。高度自動運転(L4)の実現を目指して進め、蓄積してきた開発や実証試験の成果が早速実践の場で生きたと言えるだろう。
同社によれば、3日夜に広州市からの「緊急招集」に応じ、夜を徹しての作業を実施、2時間で運行マップを完成させ、翌朝の運用開始までにシステムの更新、テスト、人員配備、物資の準備などの作業をこなし、4日午前8時から運行を開始したという驚異的なスピード感である。今の日本で同様のプロジェクトを同じスピードで実現するのは、ほぼ不可能ではないだろうか。
超強力なトップダウン方式の是非に対する議論は絶えないが、発生から1年以上が経過した新型コロナにより、中国が持つ技術力とスピード感が一層際立ったことは間違いなさそうだ。
(出典:https://www.cnbeta.com/articles/tech/1137075.htm)
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