「デリバリー」と聞くと、ピザ、ファーストフード、寿司、蕎麦などなどが頭に浮かぶが、現在、中国では、大都市を中心にこの「デリバリー」産業が熱い注目を集めている。特に、数年で利用客が増加し、急成長してきた「フードデリバリー(出前サービス)」は「百度外賣、美団外賣、餓了么」の3社が若者に絶大な人気を誇り、スマホでのダウンロードがマストなアプリになっている。注文から支払いまで手軽で便利に利用できる「フードデリバリー」は瞬く間に広がり、飲食産業にも新しいビジネスモデルを確立した。
デリバリー大手2社のステッカーが特に目立つ
フードデリバリーの利用方法は、アプリをダウンロードするだけ。アプリごとに登録されている店舗やデリバリー代が微妙に異なるので、店舗や商品によって比較しながら使い分けている人も多いため、たいていこの3社のアプリがそれぞれダウンロードされている。即ちスマホ1台に3つのデリバリーアプリがダウンロードされているのが普通なのだ。デリバリー先を一度登録しておけば、注文から決済まで1分とかからない。各店舗が指定する一定額を満たせば、例え一人前でも、ドリンク一杯でも届けてくれる。もちろん、デリバリー料金は別途かかるが、それでも指定した場所までもってきてくれるサービスは魅力だ。バイクでのデリバリーなので、渋滞にまきこまれることもなく、ほぼアプリで提示される時間内で到着する。
雨天時のデリバリー、配達バイクも工夫されている
好きなものを好きなときに好きな量だけ食べることができるフードデリバリーの魅力は、手軽さや便利さのほかに、大気汚染が深刻な中国において、空気汚染度が高い際に、外出せずに室内で過ごせると言う健康上のメリットもある。こうした環境上の原因や消費者のニーズの多様化に応えるかのように、当初、飲食店を対象としていたデリバリーが、今では日用品から生花、食料品までさまざま。思いつくものは何でもデリバリーしてもらえると思っても過言ではないくらいだ。
ニーズがあれば、即対応できるのも中国ならではで、進化スピードが極めて早い中国では、代行デリバリーなるものも登場した。例えば、デリバリーサービスに加盟していないスターバックスの珈琲が飲みたいときは、このアプリの中にある「スタバ代行デリバリー」を頼めば、最寄りのスタバに行って代行購入して届けてくれる。実費+デリバリー費がかかるが、それでも近くにスタバがないけど飲みたい!という人にはとても重宝するサービス。そのほかに代わりに荷物を受取に行ってくれる、タバコを買ってきてくれる、薬が届けてくれる、などなど、まさにかゆいところに手が届く「便利屋」の機能を備えたデリバリーにまで発展している。外出意欲が弱くなる今の寒い季節、まさに「デリバリー様々」である。