昨年11月15〜16日にインドネシアのバリ島で開かれたG20サミットでは、中国の自動車メーカー上海汽車と広西汽車集団(旧五菱集団)、米GMの合弁企業である上汽通用五菱がオフィシャルパートナーを務め、300台の小型電気自動車(EV)「air ev」を会場に提供した。サミットが閉幕して約1か月が経った12月12日、「Air ev」が中国国内で「五菱晴空」という名前で発売開始した。
「晴空」の外観は非常にシンプル。カラーバリエーションは白、ブルー、グレー、コーヒーブラウンの4種類で、いずれも派手さのないミルキーな配色となっており、シンプルさの中に上品さを感じさせる。その一方で、フロントに配された発光エンブレムやベルト状の装飾ライト、そしてヘッドライトの二重レンズをはじめとする灯光系のデザインはテクノロジー性を強く感じさせる。インテリアデザインも至ってシンプルで、エクステリア同様「簡素な高級感」を演出しているが、その中で一際目を引くのが10.25インチのパネルを2枚並べたデュアルディスプレイを見ると、「ああやはり、新しい時代のクルマなんだな」という思いを抱く。
そして印象深いのは、3ドア車ゆえのコンパクトさだ。サイズはクーペタイプが全長2599ミリ、全幅1505ミリ、全高1631ミリでホイールベースが1635ミリ、4人乗りタイプが全長2974ミリ、全幅1505ミリ、全高1631ミリでホイールベースが2010ミリとなっている。ちなみに日産の軽EVサクラは全長3395ミリ、全幅1475ミリ、全高1655ミリ、ホイールベースが2495ミリ。サクラは5ドアだが、「晴空」がいかにコンパクトであるかがわかる。バゲッジスペースの確保にも努力の跡が見られ、車内に10か所以上の物入れスペースを設けている。一方で、非常にコンパクトであるがゆえにコックピットも狭く、大の男が運転するにはやや窮屈なようだが、そもそも日常の足代わりをコンセプトとしたクルマなのだから、そのへんは割り切るべきだろう。
航続距離は300キロとなっており、日常使いには十分すぎるレベルだ。動力性能はクーペタイプが最大出力30kW、最大トルク110Nmで、4人乗りタイプは最大出力50kW、最大トルク140nmで0km/hから50km/hまでの加速時間は4.8秒となっている。また、家庭用交流電源での充電時間はクーペが7.5時間、4人乗りは8時間だが、直流急速充電に対応している4人乗りは30%から80%まで45分で充電できる。
少し前まで中国の乗用車は「大きければ大きいほどいい、装飾はゴージャスな方がいい」という傾向にあった。もちろん今でも大型のSUV車が一番の売れ筋ではあるものの、セカンドカーを持つ家庭が増え始めたことでこれまでにはなかったコンパクトさ、シンプルさへのニーズが出てきた。上汽通用五菱が発売した「晴空」は、現在の中国の技術力を代表するEVであることだけでなく、コンパクトとシンプルさを追求した街乗り自動車という点からも、「新しい時代の中国のクルマ」と言えそうだ。
(出典:https://mp.weixin.qq.com/s/d9fu72lr_vNlwkOzIObM0A)
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