2020年に湖北省武漢市で新型コロナの爆発感染が発生した際、市内に「方艙医院」と呼ばれる即席病院がわずか10日ほどで建設されて世界を驚かせた。「方艙医院」が徹底的な隔離による感染ゼロを目指す中国のコロナ政策における象徴的な存在となり、3月末から感染者が急拡大して大規模なロックダウンが実施されている上海市でも、感染者を収容するための「方艙医院」が作られた。人どうしの接触が特に厳しく制限される即席病院では、デジタル化、インテリジェント化の申し子である各種のロボットが大活躍している。
3月末に上海市の万博会場跡地に同市で初めて建設された「世博方艙医院」には配送、消毒ロボット50台あまりが配備された。また、「臨港方艙医院」には「小白」と呼ばれる各種ロボット300台が、国家エキシビションセンターを改造した「国展方艙医院」には配送ロボット、無人輸送車200台あまりが配備された。中でも最大規模の「国展方艙医院」では、12万平方メートルに設置された1万床あまりのベッドを対象に配送が行われ、1日あたり3000件あまりのタスクをこなし、毎日の合計移動距離は約300キロに達した。レーザーレーダーやマルチセンサー技術を駆使して自動で経路を作成し、再短時間で物資や食事を患者に届けることができるという。
「方艙医院」で活躍するのは、物を運ぶロボットだけではない。各ベッドから出る廃棄物を低い感染リスクで処理するための回収作業を担うのも、ロボットに課せられた重要な任務だ。大型のポリタンクに黄色いビニール袋がかけられた、まさにゴミ箱のようなフォルムのロボットたちがそれぞれ担当の経路を移動する。患者は、到着した「ゴミ箱」に廃棄物を捨てていく。ゴミによる感染リスクを低減してくれる、患者にとってもスタッフにとってもありがたい存在だ。
また、定期的にベッドを巡回して「薬を飲んでください」、「検査を受けてください」、「マスクを着用しましょう」などといった呼びかけや案内をするロボットも導入されており、スタッフやボランティアの負担軽減に繋がっている。さらに、隔離生活を余儀なくされている子どもたちに少しでも楽しんでもらおうという取り組みも行われている。食事などを配送するロボットが任務を終え、次のタスクが入るまでの待機状態に入ると、配送ロボットから「エンタメロボット」に変身するのだ。ロボットの画面を操作することで、ロボットが会話をしたり、ジョークを飛ばしたり、音楽を演奏してくれたり、ダンスを踊ったりしてくれる。
各病院に配備されたロボットたちはコントロールセンターと5G通信で繋がっている。各ロボットの活動データが逐一コントロールセンターに送られ、行動分析が行われる。行動分析の結果は病院のより効果的な管理に向けた措置の決定をアシストする。ロボットも、病院もどんどん賢くなっていくわけだ。
新規感染者の増加が落ち着き、上海の「方艙医院」もすでに多くが閉鎖した。武漢、そして上海に設置された「方艙医院」は、中国のプロジェクト実行力、「人海戦術」力を改めて世界に知らしめると同時に、中国の進んだネットワーク技術、デジタル化、インテリジェント化も印象付ける存在なのである。
(出典:https://xw.qq.com/cmsid/20220514A087QW00?f=newdc)
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