歴史的建築物である騎楼をリニューアルして作られた「618上海街」が香港の新スポットとして注目を浴びている。
618上海街の外観
「618上海街」は、旺角のランガムプレイスショッピングセンターの近くに位置している。
近代的なショッピングモールと昔ながらの街並みが入り交じる情緒あるエリアにできた、昔の面影を残す複合ビルだ。
今回生まれ変わった「618上海」は騎楼を含めた合計14の建築から成り立っている。
その幾つかは1920年代に建てられ、歴史的建築物として指定されたものである。
ちなみにこの騎楼(騎樓)というのは、低層階が店舗・上階が住居として利用されているもので英語ではショップハウスと呼ばれる。
地上階にある店舗前の歩道にせり出すように上階の住居部分が造られており、それを柱で支えている。
その柱と居住部分がアーケードのようにもなっている。住居部分については今の香港では珍しいベランダを保有しているものが多い。
店舗前の歩道部分
上フロアが歩道上にせり出すような構造となっている為、このようなアーケードのような造りになっている。
これら騎楼は時の流れの中で都市開発が進み、今では見つけることが容易でなくなってしまった。
今回のこの「618上海街」は歴史的建築物を保存して再活用しようというプロジェクトの元で、4年の歳月を経て2019年末に生まれ変わったものだ。
ショップやレストランが入居する複合ビルとして活用されている。
実際ショップの顔ぶれはバラエティー豊かである。
日本のテレビや雑誌でも数多く取り上げられてきた雑貨店を始め、日本の骨董を扱う店、香港ではあまり見ない古着店、香港らしさを売りにするグッズを扱う店などが揃っている。また常に行列の絶えないマレー料理店、ウェスタン系のカフェ、社会福祉系レストランなど、食事場所もバラエティ豊か。また多くのショップが現代と昔を融和させた何かしらのコンセプトや懐かしい雰囲気を持っている。この歴史的建築物にふさわしいラインナップかもしれない。
上階のレストランは、昔ながらの文具を扱う店が併設されている
日本人にはお馴染みのキャラクターもたくさん。
またショッピングや食事だけではなく、歴史的な見どころも多く残されている。
地上階の店舗前を歩けば、昔ここにあった店舗の名前や広告が記された古い柱が目を引く。これらの柱上に残された彫刻や文字は、できるだけ当時のまま保存されるように配慮されているとの事だ。
周りの高層ビルとの調和は、現代と古い香港の融合そのもの
当時の様子が目に浮かんできそうなノスタルジー感いっぱいの筆跡
建物のあちこちにもオールド香港の面影を見てとれるが、それとは別に、もう一つの見どころは今風にアレンジされた”アート”だ。
昔ながらの店舗の様子、618上海街のあるモンコクの昔の様子や見どころが、素敵なウォールアートとなって訪れる人を出迎えてくれる。
それらのアートはインスタ映えスポットとして、若者の間でも人気となっている。
館内の食堂前に描かれたウォールアート、こちらのテーマは昔ながらの大衆食堂の様子
こちらはこのエリアにあったのであろう、涼茶と呼ばれる漢方茶の店
618上海街の近くにあるバードストリートの様子
本物の鳥かごまで下がっていて、情緒あるコーナーになっている。
また香港ならではのカラフルな信箱(郵便受け)もアートになって、この通り
最近の香港ではこうした古い歴史的建築物を残す動きが盛んで、この618上海街も昔のよさを今に伝えながら地域活性化の役割を果たす存在である。今はまだ香港の人びとの最新スポット兼憩いの場として迎えられているが、観光客が戻れば更に賑わうスポットとなるに違いない。
(文/写真 香港コーディネーター 矢島園子)
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