新型コロナウイルスの世界中の感染拡大が報道されている中で、香港では一早く様々な対応を始めている。
元々2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)の苦い経験をしてきた香港の人々は、この種のことに非常に敏感だ。その為、旧正月前からマスクを着用する人が増えて来てはいたが、人の移動が激しい旧正月中に至っては筆者目測でほぼ90~95%というマスク着用率となっている。
そして旧正月中には公共の施設や人が多く集まるテーマパークの一時的な閉鎖、学校の休校、及び公務員の在宅勤務などの対応が発表された。
感染を広げない為に人々の行動もできる範囲で最大限の徹底をしていると思われる。
ビルやモールに消毒スプレーやジェルが置かれている場所が多く見られ、人々はそれを見つけるたびに手に取り殺菌を心がけている。
住宅ビルの出入り口に置かれたハンドジェルの一例
モールの通路で見つけた殺菌スプレー
また、エレベーター等のボタンはビニールで覆われ、1時間に1回などと回数を決めて、定期的に清潔に保たれている。
30分に一度の消毒をしているエレベーター
こちらは1時間に1度の消毒
エレベーターだけではなく、多くの人が利用するタッチパネルを導入しているファーストフード店などでも、こんな広告が。
“スクリーンは定期的に消毒しています”といった内容
正月明けの在宅勤務や休校が発表されたせいもあり、スーパー等では一時的な買出しが行われ、在庫切れが発生している店が増えているようだ。
お米売り場の棚
パン売り場の棚
野菜も売り切れ続出とのこと
インスタント麺は買い置きができるので、多くの人が購入している
またマスクや消毒シート、ジェル等は品切れ続出で、現状では普通には入手不可能といった状態。
殺菌作用のあるウェットティッシュの棚は空っぽ
薬局だけではなく、それぞれの小売店がマスクを少しでも市民に行き渡らせようと、独自の努力をしている。こちらは普段女性服を売る店だが、この日は良心的な値段でマスクの販売をしていた。
「マスクあります」と書いてある手書きのチラシ
このチラシを見て大人も子供も店内に吸い込まれていった。
まだまだ人々の我慢と忍耐が必要な苦しい時期ではあるが、街を歩くとSARSで多くの苦い経験をしてきた香港人の「感染しない」という強い思いが伝わってくるようだ。(文/写真 香港コーディネーター 矢島園子)
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