日本国内でも連日、高い関心を集め、報道されている中国・湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス。感染拡大が最も懸念される春節期間を迎えている上海現地の情況を紹介する。
地方出身者も多い上海で、帰省ラッシュとなる春節期間は、新型ウイルスの感染拡大情況を左右する重要な要素として位置づけられ、1月中旬より、上海市内の地下鉄などでマスクを着用する姿が多く見られるようになった。公共の場でちょっとくしゃみをするだけでも、周囲の視線が痛い。
現時点で、地下鉄内のマスク着用率は90%以上とも報道されている
感染範囲が拡大し、政府が武漢市を封鎖(1月23日)して以来、日増しに新型ウイルスに関する様々な情報が多くなっているが、中には、根拠のない、出所不明な内容も拡散されている。微信(ウィーチャット)でも様々な情報がとびかっているが、惑わされることなく、正確な情報を入手し、冷静に対応するよう、政府機関も注意を促している。それに、フェイクニュースか否かを判断する機能も登場した。
上海では、春節(1月25日)前から、すでに春節休暇期間の外出を控える自粛モードが高まり、1月24日には、感染症に対する最大限の警戒を示す「重大突発公共衛生事件一級(重大かつ突発的な公共衛生事件一級)」対応が発動された。感染拡大を防止する予防策として、上海ディズニーランドをはじめ、大型のレジャー施設や公共施設など人が多く集まるようなところは閉鎖され、各種行事、コンサートなどのイベントも中止となった。
また、この発動により、武漢市などのエリアから上海市に来た人は、2週間ほど隔離観察され、交通の要所で検疫などが実施されることになる。
毎年、国内外の観光客がおしよせ、大勢の人でにぎわう上海の観光地も閑散とし、大型ショッピングモールや一部レストランでも、自粛モードが高まり、営業時間の短縮や臨時休業などで、ウイルス対策に追われている。
普段は人通りの多い繁華街も人はまばらで、活気がなく、その静けさはまるで、街全体が眠っているかのようだ。
大型のショッピングモールなどでは、店内に入る前に体温チェックなどを実施しているところもある。大きく日常生活に混乱は出ていないものの、野菜の価格高騰など影響は少なからずある。
また、マスクの需要が高まる中、高額転売や使用済マスクの再販売といった悪質な問題も出て、商品の正常な販売管理や取締りの強化も求められている。
一方で、事前の政府の対応や情勢からも、春節休暇に入る前からこうした自粛ムードになることが薄々分かっていたので、食糧を買いためて、家でゴロゴロと「寝正月」を過ごしている上海市民も多い。
今年の春節で、よく聞く言葉が、春節休暇期間は極力外出をさけ、自宅で過ごすことをすすめる「微信拝年(ウィーチャットで年始挨拶)」や「宅(家にこもる)、戴(マスク着用)、洗(手洗い)」。そして、「武漢加油!(ウー・ハン・ジィア・ヨウ/頑張れ!武漢)」。
現在、上海市内の市民生活は比較的落ち着いているが、二次感染リスクのピークは2月上旬とも言われているため、感染拡大をどこまで抑制できるか、これからが正念場だ。この時期に上海を訪れる予定のある人は、現地の最新情報をしっかり確認して、予防対策万全で渡航したい。
参考:
http://sh.sina.com.cn/news/m/2020-01-25/detail-iihnzhha4556144.shtml?from=sh_ydph
株式会社フライメディアは、映像制作を中心に、海外、主に中国、台湾、香港のリサーチ、コーディネーションサービスをご提供している会社です。
本日御紹介した「新型ウイルス感染拡大を防ぐため、静かな春節を迎える上海」関連についてもっと知りたい方、写真の使用をご希望の方は、是非お問い合わせください。