新型ウイルス感染拡大防止のため延長された春節(旧正月)休暇も終わり、上海では2月10日より企業活動が再開した。といってもほとんどの企業が在宅勤務か或いは、当番制の交代出勤という形をとっている。
上海市では、地方から上海に戻ってくる人たちには、2週間の観察隔離を指導しているため、上海市外に帰省或いは旅行した人たちは、自宅で2週間、自主隔離することになる。
2週間の自主隔離中は立ち入り禁止(上図)と
住宅団地の正門に設置された臨時の宅配受取所(下図)
市内の飲食店やショッピングモールなど、人が集まるところは、行政の指導で営業時間を短縮しているところが多い。また地方からの従業員が仕事復帰できずに、営業再開の目処がたっていないところもある。
そうした中で、注目されているのが、“キャッシュレスによる非接触対応”だ。有人カウンターなどでの対面接客を避けて、商品を購入できる「無接触対応」が、ここにきて改めて重宝されている。
ファーストフード店に設置のセルフ注文&決済端末
例えば、スターバックスなどをはじめ、営業再開のカフェで、充分にこの機能を活用。イートインエリアを閉鎖し、テイクアウトだけの対応にして注文や支払いは全て、入店前にモバイルで完了。出来上がったドリンクなどを受け取る時のみ入店するという徹底ぶりを見せている。
モバイル注文&決済を推奨するファーストフード店
ファーストフードも基本的には、店内にあるキオスクと呼ばれるセルフ注文&決済端末やモバイルで注文と支払いをすることを推奨している。有人カウンターを一時閉鎖しているところも多い。至近距離での接客や現金でのやり取りをできるだけ避けるようにしている。
有人カウンターは閉鎖しているところが多い
配達サービスもこれまでのドアtoドアではなく、マンションや小区(住宅団地)の正門入口まで。非居住者との接触を避けるため、配達者など訪問者は立ち入り禁止となっているところが多い。もちろん、正門に設置された宅配ボックスの利用率も高い。居住者も外出するたびに入口で毎回検温チェックがある。
外出自粛が続き、デリバリーに対するニーズはますます高くなっている。まして、2月10日からの出勤再開もあって、不要不急での地下鉄やバスなどの乗車を極力避けるようにとも言われているので、そうそう外に出ることができない。
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そうなると、やはりここは“デリバリー!”となるのだが、デリバリーの配達者は地方出身者が主流だ。当然、こうした状況なので、仕事に復帰していない人も多く、デリバリー配達者が人手不足で、配達時間は通常より倍以上かかるっている。それでも外に買い物に出るよりは、感染リスクが低くなるので、デリバリーを利用する人は多い。
一部エリアでは、ロボットやドローンを活用してサービスの充実をはかり、こうした“非日常”を支えているところもある。
教育研修も同様で、現在再開が3月とも未定とも言われている学校で、にわかに「オンライン教育」という分野が注目を集めだした。
今回の新型ウイルスで中国の“キャッシュレス社会”は、その整備がますます充実していくことと思われる。
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