香港尖沙咀のスターフェリー乗り近くに、赤レンガ造りの高い塔がある。現地では「尖沙咀鐘楼」と呼ばれているその塔は、今はなき九広鉄路という鉄道の終点駅である「九龍総駅(Kowloon Terminus)」と共に建てられた時計塔だ。
その後、時を経て九龍総駅はホンハム地区へ移転したが、駅が取り壊された後も時計台だけは同じ場所に保存され、香港の移りかわりと発展を現在まで見守り続けてきた。因みに1990年7月、この時計台は香港法定古跡としてリストアップされている。
この時計台は当初時計だけが備え付けられていたが、のちに鐘も取り付けられ、1921年に初めてその鐘が鳴ったという。その後鐘の運用のみが停止されていたが、この度運用停止から71年の時を経て、当時の音に限りなく近く再現された音色で再び時計台の鐘が復活を遂げた。これは1921年に初めて鐘を鳴らしてから100年を記念しての事である。
71年振りの鐘が鳴らされたのは12月9日、午後18時。
この時間に合わせて多くの香港市民が時計台周辺に集まり、その時を待った。
鐘が再びなる瞬間を待ちわびる市民
そして18時になると当時に、厳かに鐘が6回鳴り、鐘の音色と共に時計台がライトアップされた。
6回ライトアップされた時計台
鐘が鳴り終わると、市民の間から歓声や拍手が沸き上がっていた。時計台の鐘はすでに修復ができない状態であったため、当時の鐘の音を研究し、限りなく近い音に再現して録音されたものであるそうだ。
しかしながら録音とはわからない程の美しい音が広場には響き渡っていた。
以後、この鐘は毎日8時から深夜12時まで1時間ごとに時を知らせるために鳴るという事である。
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