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2024.08.20
香港の「九龍城寨」とは?

九龍城寨(きゅうりゅうじょうさい)は、香港にかつて存在した非常に密集した都市部の地区で、特異な歴史と構造を持つ場所として知られています。このエリアは正式には中国とイギリスのどちらの管轄にも属さない無法地帯として存在し、数十年にわたって独自のコミュニティが発展しました。

 

 

歴史的背景

九龍城寨は元々、清朝の時代に海賊や敵の侵入を防ぐための軍事拠点として築かれました。1842年に香港がイギリスに割譲された後も、九龍城寨は中国の管理下に残り、周囲が急速に発展する中で取り残される形となりました。その後、法的な空白地帯として知られるようになり、第二次世界大戦後の混乱期には密集した無法地帯へと変貌しました。

 

 

構造と生活

九龍城寨の中には、独自のコミュニティと非常に密集した建物が形成され、さまざまな施設や商業活動が展開されていました。外部から見ると、一つの巨大なブロックのように見える九龍城寨の内部には、次のような多様なものが存在していました。

 九龍城寨は、高さが12階以上に達するビルがぎっしりと建てられ、光がほとんど差し込まないほど密集していました。この狭い空間には、最大で5万人が住んでいたとされています。住民たちは、自ら電気や水道を敷設し、狭い路地や階段を利用してビルを行き来していました。外部の法律が及ばないため、城寨内には違法な工場や診療所が多数存在し、独自の秩序が形成されていました。

 


住居

九龍城寨では、狭いスペースに多くの人々が生活していました。各階に住居が密集し、多くの住民は窓のない狭い部屋に住んでいました。居住スペースは非常に小さく、一部の家庭は家族全員でわずか数畳の部屋に暮らしていました。

 

 

 

商店や飲食店
九龍城寨の内部には、多くの小さな商店や飲食店がありました。食品店、雑貨屋、理髪店などが路地やビルの一角に並んでおり、住民の日常生活に必要な物資が手に入るようになっていました。特に麺類や点心などを提供するローカルな食堂が人気でした。

 

 

 

 

違法な工場や診療所

法の及ばない場所であったため、城寨内には違法な工場や診療所も数多く存在しました。食品や薬品の製造、電子部品の組み立て、さらには歯科治療や医療サービスを提供する場所もありました。これらはしばしば安全基準を満たしていない状況で運営されていましたが、安価で迅速なサービスが求められていたため、住民にとっては貴重な存在でした。

 

 

 

 

宗教施設

九龍城寨にはいくつかの宗教施設も存在していました。例えば、道教の寺院や仏教の小さな礼拝所があり、住民たちはそこで祈りを捧げていました。これらの宗教施設は、コミュニティの精神的な支えとなっていました。

 

 

教育施設

城寨内には非公式な学校や教室も設けられていました。住民の子供たちは、このような施設で基礎的な教育を受けることができました。正式な学校ではなかったものの、地域社会の中で学びの場が提供されていました。

 

 

狭い路地と通路

九龍城寨内の路地や通路は非常に狭く、時には天井が覆われている暗闇の中を進むこともありました。通路は迷路のように複雑で、住民は日常的に使い慣れた道を頼りに移動していました。エレベーターはほとんどなく、住民は狭い階段や梯子を利用してビルの上層階へ移動しました。

 

九龍城寨はその特異な構造と、内部に存在する多様な施設によって、独自の文化とコミュニティが形成されていました。この密集したエリアでの生活は非常に過酷でしたが、その中でも住民たちは互いに助け合い、コミュニティの中で生き抜いていました。

 


第二次世界大戦後
第二次世界大戦後の香港では、基本「九龍城寨」という名前が定着していました。 1993年に香港政府はこの複雑怪奇な建物の取り壊しを決定し、住民を移転させた後の1994年に解体工事が実行されました。このとき、第二次世界大戦中に埋められていた扁額が発見され、それに記された「九龍寨城」という名前が再び世に現れました。

 

九龍城寨は、実際今どうなっているのか?

2024年現在、九龍城寨そのものは存在しておらず、その跡地には「九龍寨城公園」が広がっています。九龍城寨が1994年に取り壊された後、このエリアは美しい公園として整備され、地元住民や観光客に親しまれています。

 

 

 

整備された「九龍寨城公園」には、城寨の歴史を伝える展示や記念碑が設置されています。現在、九龍城寨は消滅しましたが、その異様なまでに密集した都市構造と独自の文化は、映画や小説、ゲームなどに多くのインスピレーションを与え続けています。

 

 

映画『九龍城寨之圍城』

 

九龍城寨の特異な歴史と構造は、都市開発や社会秩序、そして人間の適応力に関する深い洞察を提供するものとして、今でも多くの人々の興味を引き続けています。

 

2024年に香港映画史上歴代2位の興行成績を打ち立てた映画『九龍城寨之圍城』は、香港人の間で大ヒットした映画であり、昔の九龍城寨が実はどのような場所だったのかということはSNSでよく話題になるテーマの一つです。

 

映画『九龍城寨之圍城』は1980年代の香港、無法地帯の魔窟でありながら人々の生活の場でもあった九龍城(九龍城寨、九龍城砦などとも呼ばれる)を舞台に、闇社会の派閥の争いと、過去の事件に起因する復讐劇が展開されます。

 

九龍城寨は、もう存在しないものの、その歴史と文化は現在の九龍寨城公園を通じて引き継がれ、訪れる人々に深い印象を与え続けています。

 

 

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