日本ではペーパーレス化やコスト削減の一環として銀行の通帳を電子化する動きが進んでいるが、中国では近年通帳どころか「キャッシュカードレス化」の取り組みが始っており、現金が必要になったときにキャッシュカードなしでもATMで簡単に引き出せるという。
「支付宝」(アリペイ)、「微信支付」(ウィチャットペイ)というモバイル決済ツートップの急成長により、今や現金を持ち歩かずに様々な消費行動ができる中国だが、それでも急に現金が必要になるシーンはまだまだある。そんな時、キャッシュカードを持っていなければすぐにはお金がおろせず、家にカードを取りに帰らなければならない。しかし、中国ではこの5年で招商銀行、中国農業銀行、中国工商銀行などの大手銀行が「キャッシュカードレス」の現金引き出しシステムを順次導入している。システムに用いられるのは「顔認証技術」だ。
ATMの前に取り付けられたカメラの前に立つと身分証明書に登録されている画像との照合が行われ、一致すれば携帯電話番号、暗証番号、金額を入力して現金を引き出すことができる。これならわざわざキャッシュカードを持ち歩く必要がなく、カードの紛失や偽造による被害を心配する必要がないというわけだ。
ATMの顔認証にはセキュリティレベルの高い赤外線デュアルカメラが用いられており、他人の画像を使ったり、変装マスクを使ったりといった不正を防ぐことができる。一方で、整形手術を受けた人や、あまりにも濃い化粧をしているなど、身分証の写真と大きく異なる場合には顔認証システムが使えない可能性があるという。
現時点ではなおも試行段階ということで、一度に引き出せる金額は3000元程度に限られているようだが、手軽に現金を引き出すことのできる手段としてさらなる普及が進みそうだ。スマホ一つで様々なことができるようになった中国で、今度は自分の顔一つで何でもできるようになる時代が到来しつつある。
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