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2020.03.30
ミニチュア作品にみる香港あるある・食文化編 (その1)

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こちらでも以前ご紹介をした、尖沙咀のHouse1881で行われているミニチュア展。このミニチュア展の展示期間が3月25日まで延長され、外出が制限される香港の人々にとって数少ない癒しの場となっている。

 

今日はここで展示されていたミニチュア作品を見ながら、香港独特の食文化についてご紹介してみたい。どのミニチュア作品もリアルで香港の食卓風景をそのまま切り取ってきたかのようだ。

作品のディティールには香港ならではの食文化が細かなところまでよく表現されており、香港事情に通じる人が見れば頷けるものばかりとなっている。

 

こちらの作品は、香港のローカルレストラン・茶餐廰(チャーチャンテン)でお馴染みの朝食セット。

香港の朝はトーストやサンドイッチと目玉焼き、そしてそれらに温かい麺(出前一丁などのインスタント麺)やマカロニスープを加えたこんなセットが定番だ。

麺やマカロニスープを足すことにより健康的とは言いがたいボリュームたっぷりの朝食となるが、温かいものを摂取するという行為は、香港ではとても大切な事と考えられている。

ちなみにトーストに添えられた目玉焼きやハムやソーセージ類は、トーストと一緒に食べても、麺やマカロニに載せて食べてもよい。

 

香港ミニチュア食文化

香港風の朝食セット

 

飲みものに入っているレモンも、香港ならではの光景

昔はレモンティーや熱いレモン水(お湯にレモンを入れただけの飲み物)を頼むと、5切れほどのスライスレモンが入っているのが当たり前だった。最近は物価高騰によりスライスレモンも3枚程に減ってしまったが、それでも日本のレモンティーと比べると多いほうだと感じる。香港でレモンティを頼むことがあれば、ぜひスライスレモンの枚数チェックをして頂きたいと思う。

 

次は洋食の風景を。元イギリス領だった香港では、独自の洋食文化が発達しているように感じている。

ランチセットを頼むと、メインに加えてスープあるいはサラダの選択ができる店が多い。そして多くの人が選択するのが、体が温まるスープだ。

 

このスープ、赤か白を選ぶことができる店が大半である。そして白いスープはクリーム系、赤いスープはミネストローネかボルシチを指す。

 

この香港で食べる事ができるボルシチも、香港ならではの味の一つといえる。茶餐廰(チャーチャンテン)と呼ばれるローカル食堂でさえ、ボルシチ(羅宋湯)を出す店が多い。このボルシチの起源は、ロシア革命後に 上海経由で香港に亡命をしてきたロシア人たちから伝えられたのが始まりといわれている。街のちょっとした店でも驚くほど美味しいボルシチが飲めることがあるので、メニューにこの名前を見つけた際は、ぜひ試してみていただきたい。

 

香港ミニチュア食文化

手前右のスープが香港風のボルシチ

 

最後は香港を代表する食文化のひとつ、飲茶について。

飲茶には色々なオーダー方法がある。最近では食べたいものを紙にメニューにチェックして渡すというオーダー方式を採用する店が多い。しかし一度経験をして頂きたいのが、写真の作品のようなワゴン式飲茶だ。

 

香港ミニチュア食文化ワゴン式の飲茶風景

 

蒸しもの・ご飯もの・揚げ物・デザートなど、ワゴンは点心の種類別に分かれており、テーブルとテーブルの間を手押しで廻るスタイルが主となる。店員にお願いをすれば、蒸篭の蓋をあけて中身の確認もさせてくれる。実際見てオーダーできるとあって、言葉が通じない観光客でもオーダーしやすいとあり、ワゴン式飲茶の人気は衰えることがない。

 

ただこのワゴン式の飲茶も、今では殆ど見かけることができない光景となってきた。幾つもの蒸篭を予め用意することが食べ物の無駄の原因に繋がる理由からである。その為、現在は効率のよいオーダー方式を採用する店が殆どとなっている。

レトロでノスタルジックなワゴン式飲茶であれば、美味しい点心も更に魅了的になる。ぜひ一度はワゴン式飲茶もお試しいただきたい。

 

他にも多くのミニチュアフード作品があり、それにまつわる食文化ストーリーがある。機会をみて、他の香港あるある食文化もお伝えしてゆきたい。(文/写真 香港コーディネーター 矢島園子)

 

 

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