近い将来、私たちが普段来ている服が意思疎通のツールになるかもしれない。中国・復旦大学高分子化学学部の彭慧勝による研究グループがこのほど、特殊な繊維を用いた「ディスプレイ織物」システムの研究成果を科学雑誌ネイチャーで発表した。
研究グループが開発したのは「大面積の柔軟性ディスプレイ織物」で、発光活性素材を持つ高分子複合繊維と導電性を持つ透明な高分子ゲル繊維という2種類の特殊な糸を織り込むことで両者の交差部分が発光する「ドット」となり、電気回路で発光を制御することで文字を表示させる仕組みだという。
発光繊維は直径0.5mmに満たず、見たところ普通の糸と変わらないが、通電すると光を放つ。織物の経糸と緯糸を織り込む形状が、ディスプレイの画素配列に似ていることに気づいたことが、研究を進める上で大きな転機になったとのことだ。
気になるのは、発光したり電気を通したりする特殊な繊維を含む織物を通常の衣服と同様に洗濯できるのかということ。そして摩擦などの耐久性も心配だ。最終的な実験結果では、2種類の繊維がずれたりねじれたり、曲がったりしても、交差する発光点の変動範囲は5%以内に抑えることができ、洗濯機で100回洗濯しても問題なかったことが示された。また、着心地も普通の織物と変わらないそうである。
現時点ですぐに日常生活に登場するものではないが、ディスプレイ機能を持つ織物は将来医療健康分野、工業分野など様々な業界で応用される可能性を秘めている。研究者は、先進的な脳波技術と組み合わせることができれば、着用者の意思や状況を伝える有用な通信ツールになり得ると考えている。
シャツやトレーナーのプリントデザインを、気分によって自由に変える……。「ディスプレイ織物」の登場は、未来のファッション業界にも革命をもたらしそうだ。
(出典:https://finance.sina.com.cn/tech/2021-03-17/doc-ikkntiam3873981.shtml)
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