脱炭素社会に向けた新エネルギーの開発を急ピッチで進める中国。全国各地に次々と大規模な太陽光発電設備が設置され、沿岸や洋上には風力発電用の風車も続々と建設されている。そして黄河と並んで中国の文明発展に寄与してきた長江での水力発電プロジェクトでも、マイルストーン的なトピックが生まれた。

■長江上流の巨大水力発電所が完成、フル稼働開始

長江上流部・金沙江の四川省と雲南省に跨る地域に建設された白鶴灘水力発電所では12月20日、建設中だった最後の発電ユニットの正式な運用、発電が始まった。これにより、建設規模世界一、発電キャパシティ世界第2位を誇る同発電所にある16の発電ユニットの完全稼働に至った。金沙江を流れる豊かな水は同発電所を通って海へと注ぐ長い旅を続けると同時に「電力」に化け、下流各地域の家々の明かりを灯すのだ。

■「西電東送」を担う一大プロジェクト

落差のある巨大な渓谷、そして豊かな水量を誇る同発電所の建設が始まったのは2011年のこと。西部で作った電力を需要の大きい東部へと融通する「西電東送」国家プロジェクトの一部であり、その建設規模は世界最大で、技術的な難度も世界一と言われるプロジェクトだった。同発電所には世界最大の発電能力を誇る100万キロワット級の発電ユニット16基が建設される計画で、11年6月には早くも2つのユニットが何百何千というテストを経た上で正式稼働を開始。そして11年半の歳月をかけ、16基すべての発電ユニットが稼働するに至ったのである。

■白鶴灘水力発電所が誇る「世界一」の数々

同発電所は1基あたりの発電量以外にもいくつかの「世界一」を持っている。地下洞窟の規模、流量を調節する円筒式放水路サージチャンバーの規模、300m級の高度アーチダムの耐震パラメータ、無圧導水トンネルの規模がそれぞれ世界一であるほか、世界で初めてダム全体に低発熱セメントコンクリートを採用した。そしてまた、12月20日に最後のユニットが運転を開始したことにより、同発電所を含む6つの巨大はしご型水力発電所による全長1800キロメートル、総容積919億立方メートル、年間発電量3000億キロワット時という世界最大のクリーンエネルギー回廊が誕生した。

■発電以外にも様々な貢献を果たす水力発電所

同発電所を含む長江の水力発電所群は、長江流域の洪水防止、発電、水上輸送、水資源利用、生態の安全確保いずれにとっても大きな意味を持っているほか、華中、華東地域や四川省、雲南省、広東省などの電力逼迫状況を緩和する効果を持つ。さらに、年間で2億2840万トンの二酸化炭素排出を削減でき、中国や世界のカーボン・オフセット、カーボン・ニュートラルの取り組みにも大きく寄与するのだ。

（出典：http://cq.ifeng.com/c/8LvYCNqFuvn）

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