「上海に花粉症はない!」という声がある。日本で花粉症を発症していても、中国に来たら、症状が出なくなったという人の話もよく聞くし、日本ほど店頭に花粉症対策グッズが並ばない。
上海市内にはプラタナスの並木道が多い
日本で最も多い花粉症の原因がスギ花粉やヒノキ花粉と言われている。スギ花粉は2月から5月、ヒノキ花粉は3月から5月にかけてが飛散のピーク期間とされ、花粉症患者にはつらいシーズンの到来になる。
緑の葉で日陰もできるので、夏は歩きやすい並木道
上海には、スギ花粉やヒノキ花粉はほとんど飛散していないので、これらを原因とする花粉症はないのだが、別の原因で発症する“季節性アレルギー性鼻炎”、いわゆる花粉症が見られる。
少し掃いただけで山のように集まる種子(右)
上海に住んでいると、花粉症の症状が出る時期があることに気づく。
中心エリアでは枝が切られている?!
毎年、新緑まぶしい季節になるころ、目のかゆみ、鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、のどの不快感といった症状を訴える人が多くなる。
下に茶色の種子が落ちているのが見える
その症状の原因となっているのが、プラタナスの果実である。プラタナスの果実から、フワフワした種子(中国語で「毛毛球」とも呼ばれる)が出て、空中に舞う。これがプラタナス花粉症の原因になっているわけだ。
プラタナスの果実
上海には多くの通りで、プラタナスの並木を見ることができ、上海の街路樹と言えば、「プラタナス!」と即答するくらいである。とくに、旧租界地エリアは、洋館とプラタナス並木の組み合わせが異国情緒漂うとして人気の撮影スポットにもなっていて、週末になると、国内外を問わず、多くの人が撮影に訪れ、また、SNS映えを狙う若者たちの姿も多い。
旧租界エリアの美しい光景
通りを囲うように枝が延び、緑のトンネルをつくっているかのような美しいプラタナスの並木道は、あつい日射しをさえぎってくれて、涼しさを感じるスポットでもあるが、花粉症を発症している人にとっては、とても”つらくて、憂鬱な”場所になる。
夏に涼しいプラタナスのトンネル
プラタナス花粉症の原因となる種子は、見た目はタンポポの綿毛を少し大きくし、茶色にしたようなもので、長さが約10ミリメートル。この種子の飛散は4月から5月がピークということで、この時期だけはマスクをしている地元の人が増える。
風に舞って地上に落ちたプラタナスの種子
洋館を背景に、ふわふわと雪のように風に種子が舞う光景は、一見するととてもロマンチックなのだけれど、「美しさよりもアレルギーが!」というのが多くの花粉症患者の本音かもしれない。
掃いても掃いても減らない種子
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