今にも動き出しそうな、黄金の龍。これは、樹脂を何層にも重ねて描く3D樹脂アートの作品です。樹脂アートといえば、日本人アーティスト・深堀隆介さんの「金魚アート」の作品が有名ですが、この龍を描いた中国の80後(80年代生まれ)の青年も、彼の「金魚アート」に啓発され、樹脂アートの世界にのめり込んだそうです。
いきいきとした黄金の龍(出典:騰訊図片)
凡尼亨さん(本名・陳啓先)は、80年代生まれの内気な理系青年。安定した仕事を辞め、現在は3D樹脂アートに没頭しています。
2013年、「金魚アート」で世界中に名が知れた深堀隆介さんの樹脂画法が中国に伝わりました。当時、まるで生きているかのような金魚の姿に多くの人が驚き、称賛しました。凡尼亨さんも衝撃を受けた一人で、そこから樹脂アートを始めたといいます。
凡尼亨さんの金魚の作品(出典:騰訊図片)
凡尼亨さんは、毎朝9時から夜の21時頃まで机に向かい、樹脂アートを描きます。絵を描き、樹脂を重ね、一層一層立体的に描いていく樹脂アート。しかし、樹脂に含まれる凝固剤は有害物質が発生するため、樹脂を使う際はガスマスクをつけ、成型されるのを静かに待ちます。しかし、毎回樹脂アートが完成すると、彼は写真を撮った後、「自己満足してしまいそうで」と作品に蓋をしてしまいます。
作品作りをする凡尼亨さん(出典:騰訊図片)
凡尼亨さんの両親は農村で暮らしており、今は姉とともに借り家で二人暮らし。姉が家賃を払い、凡尼亨さんが食事を作るという生活をしています。幼い頃から高校まで、親戚の家に寄宿していたこともあり、内気な性格になってしまったという凡尼亨さん。海が最高の友達で、今でも海辺に行っては砂浜で見つけたビンの蓋などを持ち帰り、樹脂アートの器にしています。
貝殻やビンの蓋でつくった作品(出典:騰訊図片)
ずっと家にひきこもり、仕事も探さず、彼女もつくらない。両親はまったく理解してくれず、樹脂アートは遊びだと思っているそうです。しかし、静かに絵を描くことが自分の性格にあっていることは、凡尼亨さんが一番分かっています。自分に対する印象なんてどうでもいい、自分の作品を誰かに覚えていてもらえればそれでいい、という凡尼亨さん。「この道は長くて、自分はどこまで行けるかわからないけど、決してあきらめないで続けていく」と固い決意をもって取り組んでいます。
がんばれ!凡尼亨さん(出典:騰訊図片)