大気汚染が深刻化している中国の市民に、大量の汚染物質を放出する工場の煙突はまさに「悪の象徴」といった存在かもしれません。しかし福建省泉州市ではこのほど、煙ではなく青々と生い茂った木がひょっこりと顔を出している煙突が見つかり、市民の心を和ませています。
泉州市の製糖工場跡地にある高さ数十メートルの煙突2本のてっぺんから、それぞれ青々と葉っぱを茂らせたガジュマルの木が顔を出しています。遠くから見ると、その姿はまるで煙突が緑色の帽子をかぶっているよう。忌まわしき煙をモクモク出すはずの煙突から、いったいどうして木が生えてきたのでしょうか?
その答えはどうやら、鳥たちにありそうです。使われなくなった煙突に鳥がフンを落としていきます。そのフンに混じっていたガジュマルの種が強い生命力を持っていて、狭くて暗い煙突の中で発芽。天井の光に向かってにょきにょきと背を伸ばしていき、ついにてっぺんから顔を出すまでに生長した可能性があるのだとか。
ガジュマルの木にすっかり占領された煙突はもはや本来の機能を完全に失ってしまいましたが、生命力の強さ、自然の大切さを象徴するオブジェという新たな役割を担っているようです。
ちなみに、ガジュマルは中国語で「榕樹」。観葉植物としても知られていますが、強固に根が張り高く生長することから街路樹や防風林としても用いられます。福建省はガジュマルの一大生息地で、省都の福州市は「榕城」とも呼ばれているのです。
参考:http://news.qq.com/a/20151217/013330.htm#p=1