トヨタや日産、ホンダをはじめとする日本やドイツなどの外国メーカーと中国現地企業の合弁メーカーが長きにわたり支配してきた中国の自動車市場だが、電気自動車(EV)の急速な普及に伴う中国純国産メーカーが台頭する中でついに大きな分岐点と言える状況が起きそうだ。中国のEV大手BYDが中国市場の年間販売台数で合弁メーカーを抑えて首位に立つことが決定的になったと中国国内メディアが報じている。
■BYD、23年に302万台を発売
BYDは2023年、世界市場で前年比61.9%増となる302万4417台の自動車を販売したことを発表。目標としていた300万台を上回った。このうち中国国内向け販売台数は約278万台となっており、他社の販売データがまだ全て出揃っていないものの、23年の年間販売台数第1位は確定的と見られる。BYDは21年の販売台数が74万台で、2年間で4倍以上の増加を達成。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けている。
■合弁トップの時代、約40年でピリオド
中国の自動車市場では、1984年に独フォルクスワーゲンが進出して以降合弁ブランドが主導権を握り、ブランドが持つ知名度や影響力、信頼性の高さ、そして優れた技術力などを生かして中国の消費者の心を40年近く掴み続けてきた。しかしこの数年で中国自動車市場の局面は非常に大きく変化して、新エネルギー車やスマート化技術を得意とする純国産(民族系)ブランドが急速に力をつけてきた。中でもBYDはその先駆者として早い段階からEVの成長性に着目、外部からは疑問の声も出る中で着々と技術の開発を進め、EVやプラグインハイブリッド車で確固たる地位を築くに至った。
■高級車路線も好調
BYDは高級車市場の開拓も積極的に進めており、今や大衆車から高級車までを手広くカバー。騰勢、仰望、方程豹といった高級車のサブブランドを次々リリースしている。騰勢ブランドは昨年中国市場で12万7840万台を販売し、D9モデルはMPV(多目的車)部門で年間最多販売台数の栄誉を獲得した。また、仰望のU8は発売した昨年11月に1593台を売り、価格100万元(約2000万円)クラスの国産ブランド車月間販売記録を更新、これまで海外ブランドに独占されてきた同クラス市場に風穴を開けた。
■海外販売が飛躍のあらたな原動力に
BYDの勢いは国内だけにとどまらない。特に昨年は海外市場販売が新たな成長の極になり、年間で前年比4.34倍の24万2765台に達した。21年5月に乗用車の海外販売に本格的に乗り出してからわずか1年半で、すでに日本やドイツ、オーストラリア、ブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)など世界59カ国・地域まで販路を拡大した。昨年1〜6月にトップ10に初めて顔を出した世界市場での販売台数もスズキを抜いて年間9位に浮上する見込み。中国市場でトップ、世界の新エネ車市場でトップに立ったBYDが今年も引き続き中国ひいては世界の自動車市場の変革をリードしそうだ。
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