12月はクリスマスや新暦のお正月を控え、華やかなイベントも多い。上海には趣ある洋館で食事を楽しめるレストランも多い。その中でも代表的な存在が旧フランス租界にある「雍福会(ヨンフーフイ)」。

 

 

「雍福会」の開業は2004年。1935年築のスペイン様式建築は、かつてイギリス領事館として使用されていた。そのため、1986年のエリザベス女王訪中の際にこちらを訪問している。

 

 

2000年代に入りイギリス領事館は移転し、領事館として使われなくなる。建物は３年かけて洋館に中国式要素を融合させてリノベーションされ、高級会員制クラブとして開業。

 

開業時、フランス大統領の訪中時に夫人の訪問先でもあった。2004年以降は高級レストランに業態転換。2016年にミシュランの２つ星の評価がついたことで一気に知名度が出た。

 

そんな「雍福会」で食事する機会があったためその様子をご紹介する。建築リノベーション時のコンセプトが「中国様式と西洋様式の折衷」であったため、店内は西洋式を基調としつつも、中国の骨董品や美術品が展示される融合的な空間となっている。

 

 

各所に見られる美術品はオーナーの個人コレクションとのこと。

 

 

 

 

 

「雍福会」で提供される料理は食材にこだわり、洗練さを極めた新スタイルの上海料理。伝統的な上海料理は「濃油赤醤」といい、油と醤油を多めに使った料理が特徴であるが、「雍福会」の料理はそこから工夫を加えて独自アレンジを施した料理にする。

 

この日頼んだメニューはこちら。

 

上海熏魚(シャンハイ シュンユー)。熏とは「いぶす」の意味。熏魚を作る過程で油で揚げる際に煙が立ち上る様からこの名前になったという。上海料理の定番メニュー。白身魚を油で揚げ、醤油ベースのタレに１日漬ける。上海らしく甘めの味付け。冷菜としていただいた。

 

 

 

フォアグラシュークリーム。シュークリーム生地にフォアグラを合わせている。オーダーの際は料理と思って注文したが、甘めのお菓子感覚で食べられる味のため、デザート的に食べるのがいいだろう。

 

 

炒虾蟹(チャオ シャーシエ)。上海蟹の身とミソ、エビを炒めてあんかけに仕上げている。

 

プーアール茶紅焼肉。「雍福会」の看板メニュー。雲南省産のプーアール茶を入れたタレでじっくり煮た紅焼肉。お店の方にこだわりを聞くと、安徽省の指定農場で育てた生後18ヶ月の黒毛豚を使用し、特製の醤油で調理しているとのこと。

 

 

お祝い事での食事だったため、お店からケーキのサービスがあった。ナツメ餡の多層ケーキで程よい甘さが美味しかった。

 

「雍福会」でのお食事後は庭園を散歩することをお勧めする。別の日の昼間に撮った明るい写真も混ぜつつ、庭園を紹介する。こちらの庭園、元は西洋式の庭園であったものの、レストラン改装時に東洋風庭園に改造した。

 

 

 

庭園奥には歴史感じる「六芸堂」と書かれた額と中国式の建物の一部がある。額の字は明朝時代の有名な書家によって書かれた文字とのこと。中国の伝統的な邸宅には名前がつけられることが慣習で、その名前は広間に達筆な字で掲げられていることが通例だった。

 

 

こちらは浙江省東陽から移築した清朝時代の邸宅広間だった。見事な木の細工があり、夜間では細かい箇所まで見れない。明るい時間に見ておく方がいいだろう。

 

上海の歴史的建築レストランとして有名な「雍福会」。特別な時に食事に行き、優雅なひと時を過ごしてみてはいかがだろう。

 

住所：上海市永福路200号

営業時間：11時から22時

電話番号：021-5466-2727

 

 

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