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2024.04.01
かつては旧上海一番の高級マンション!存在感を放つ「錦江ホテル」の歴史を紹介

 

上海にはここはアジアであることは忘れさせるような、数多くの外国様式の古建築が建っている。その理由はこの都市以前、外国が統治する「租界」があったためだ。上海にはかつて主にイギリス、アメリカが管轄した「共同租界」、そしてフランスが管轄した「フランス租界」の2つの租界があった。租界時代が終わった今も、その時代に建てられた建造物は上海に残り街並みに深みを与えている。

 

今回ご紹介する現在「錦江飯店(ジンジャン ファンディエン)」が建つエリアは、旧フランス租界の一等地的存在。茂名南路と淮海中路と交わる一帯である。上海を訪れる日本人が多く宿泊し、上海在住日本人にもお馴染みの「花園飯店(ガーデンホテル)」もこのエリアに含まれる。

 

その「花園飯店」の対面にあるのが「錦江飯店」。

 

 

外見からしていかにも歴史がありそうな旧建築。茂名南路沿道にも建築の趣を一にする古建築が建っている。上海人はこちらの「錦江飯店」を「老錦江」と呼ぶ。

 

「老(古い)錦江」があるのなら「新」錦江もあるのでは…?と思われる方もいるだろう。通称「新錦江」は隣接する敷地に建っている。そびえ立つタワーが老錦江と対極をなすかのようである。

 

 

花園飯店はかつて、フランス人の社交場や娯楽の場であった「フレンチクラブ」だったが、「錦江飯店」も興味深い来歴をもっている。敷地内には似た外観の築100年ほどの古建築が2棟建っているのだが、実はオーナーは同一人物。俄然興味が湧き、ちょっと調べてみることにした。

 

錦江飯店の客室棟の中で北側に建つのがこちらの「錦北楼」と呼ばれる13階建ての建物。この建物は1929年築、旧名「華懋公寓 (Cathay Mansion)」。Cathayとは中華を表す。

 

 

外灘にそびえる上海のレジェンド的存在のホテル・「和平飯店」の旧名はCathay Hotelだった(写真左緑屋根の建物)。そう、「華懋公寓 (Cathay Mansion)」と「和平飯店」のオーナーは同じなのである。

 

 

外灘のCathayがホテルだったのに対し、旧フラン租界一等地に建つCathayは、高級サービスアパートメントだった。1~10階は客室、11、12階はレストラン、13階はキッチン。当時としては先進的な、各部屋の冷暖房及びバストイレ完備、料理は小さい貨物用エレベーターで運搬、電話も設けられた。

 

立地場所も良く、内部設備や内装は当時の上海で最高レベルであったため、多くの外国人をひきつけ、部屋は瞬く間に売り切れたという。現在は錦江ホテルとなっているが、ここ北楼の客室は最近のホテルでは見られない、天井高は3mを越え、当時の木製の窓枠が残っているという。

 

大規模な改修が何回か施されているものの、内部は昔の優雅な面影を今も漂わせている。

 

こちらはエントランスを入った所にあるコーナー。北楼の昔の写真を見ることができる。

 

 

 

奥の階段のつくりも豪華。上がった所にカフェがあり、アフタヌーンティを楽しむこともできる。

 

錦江飯店のもう一つの客室棟は18階建ての「貴賓楼」。

 

 

こちらは北楼と似た建築であるが、緩やかに弧を描いており、外観の色合いも相成って見る人に権威的な印象を与える。先に書いたようにオーナーは「北楼」と同じである。建物の形については一説あり、オーナー(Ellis Victor Sassoon)の名前から一文字取ったEの字の形で設計されているという。1935年築で、建造時は「峻岭公寓 Grosvenor House」 と呼ばれた。こちらも超高級サービスアパートメントだった。

 

18階という高さは当時の上海旧フランス租界で最高層住宅だった。建造時1階はジム、2階以上が客室。77部屋。2-6部屋。3,4部屋が最多。屋上には庭園とテラスを設けていた。住民は外資系企業社長、外国領事、政府要人、民族資本家、セレブらそうそうたる人物が入居。旧上海の黒社会大ボス・杜月笙が住んだこともあった。

 

 

戦争を経て戦後の一時期はアメリカ軍地方支援部隊司令部が管理。その後建物は上海の旧共同租界を管轄していた主要国のひとつであるイギリス系の保有だった為に、以前のサービスマンション業務を再開。入居者は外国人の他、国民党幹部(蒋経国ら)もいた。1949年以後は付近の道に併せて「茂名公寓」に改名。政府関係の幹部、知識人らが入居した。

 

1951年、外国の賓客を接待するホテル「錦江飯店」として正式に開業し、中国初の外国要人をもてなすホテルとなった。初期は旧ソ連、北朝鮮、モンゴル等からの外交訪問団や国家首脳の宿泊先となった。特に貴賓楼のスィートルームは国家元首級の要人のみ宿泊可能だった。これまで150カ国500名余りの国家レベルのVIPを接待してきた。

 

 

 

貴賓楼内にあるラウンジでは、かつてここに宿泊した各国要人たちを紹介している。ここの写真に納まったのはまだ一部である。日本の要人も宿泊したことがわかる。

 

1990年代以降、客室棟の大規模改修を行った。その頃より一般客も錦江ホテルに食泊できるようになったが、その当時の宿泊客の多くは日本人をはじめとする海外からの宿泊客だった。上海にはこのような歴史を感じられるオールドホテルも多くある。ぜひ現地で重厚感ある雰囲気を感じ取ってもらいたい。

 

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