超高速リニアモーターカーの開発を進めている中国で、新たな進展があった。山東産研院が中国科学院電工研究所と山東省済南市と協同で山東省に設立した斉魯中科電工先進電磁駆動技術研究院が、世界初となる「電磁そり」設備の稼働に成功した。トン級の重さを持つ物体を最高時速1030キロまで加速して移動させることができ、高重量超高速電磁推進技術の世界最高速記録を更新するものだ。
この「電磁そり」設備は2019年10月に建設が始まり、21年9月に工事が完了して「電磁そり」と付帯設備の引き渡しが行われ、同12月に使用が開始された。プロジェクトの総投資額は33億元(約670億円)にのぼる。「電磁そり」はリニアモーターカー技術をさらにグレードアップしたもので、軌道と車体の間にある電磁装置を動力装置としており、高速移動を実現する。現在、リニアモーターカーの最高時速は603キロであり、1030キロはその1.7倍を超える速度を持つということになる。音の速さ、すなわちマッハ1は時速約1200キロであることから、地上を走る乗り物が音速の域に大きく近づいたということもできるだろう。
リニアに限らず、高速地上交通や飛行機などの高速移動設備の開発に当たっては空気力学や高い強度を持った先進材料、高速度に対応したモニタリング、制御技術といった問題を克服する必要がある。今回、時速1000キロを超える超高速移動を実現した「電磁そり」の開発成功は、これらの問題を解決するための重要なテスト、測定手段の機会をもたらすことになる。「電磁そり」がリニアの分野だけでなく、超高速移動手段全体、さらには様々な分野の発展を促す可能性も持っているということだ。
また、「電磁そり」の超高速移動を実現するには、本体の管理システムに加え、非常に大きな推進力を生み出すリニアモーターや、強力な周波数可変電源などの付帯技術のブレイクスルーも必要だ。今回の成功は、中国がこれらの技術でも国産化を実現したことをも意味する。
脱炭素に向けた取り組みが加速する中で、飛行機を凌ぐ速度が出る上に二酸化炭素を排出しない超高速リニアへの期待はさらに高まっている。実用化にはまだしばらく時間がかかりそうだが、圧倒的な財力と膨大な人的リソース、そして中国政府による強力なバックアップがあれば、ものすごく遠い未来の話でもないだろう。
(出典:http://m.chinanews.com/wap/detail/zw/gn/2022/10-21/9877208.shtml)
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