中国では春節(日本の元旦に相当)は、非常に大切な祝日です。私はこれまでずっと日系企業に勤めていたので、大学卒業以降は一度も実家で春節を過ごすチャンスがありませんでした。しかし、今年は春節にお休みをいただくことができ、夫(日本人)をつれて7年ぶりに実家(中国の遼寧省)で春節を過ごしました。夫は今回初めて、中国人ファミリーと春節を過ごし、困惑することも多くありましたが、それ以上に多くの収穫があったようでした。
春節前日の遼寧省大連北駅
私の実家は、中国の遼寧省のとある農村にあります。冬の気温はマイナス15-20℃と非常に低く、厚いダウンを着ても、冷たい風のせいで、まだ寒く感じるほど…。しかし、家の中には火炕(フオ カン)といういわゆる、中国版オンドルのような暖房器具があり、とても暖かいです。
夫も「想像と違って快適に過ごせた、次に行くときも冬がいいなぁ」と言っていました。夏は室内に虫がたくさん入ってきてしまうので…。
オンドルの上でオセロを楽しむ
私の夫(写真右)は日本人です。大学で中国語を専攻、また中国での勤務経験もあり、それなりに中国語が話せます。しかし、冬の農村に行くのは初めてで、極寒での生活を想像していたため、行く前は怯えていました(笑)。
今回のブログはそんな夫の体験に基づいて、中国の東北地方の農村の春節の過ごし方についてご紹介したいと思います。
1,餃子包み
中国の春節では餃子を食べる習慣があります。日本の年越しそばのような感覚です。母が小麦粉から餃子の皮を作り、豚肉等で餡を作ります。その横で私、妹、夫がおしゃべりをしながら餃子を包みました。私の指導の甲斐もあり、夫もなかなか上手に包めていました(笑)。ちなみに、餃子包みが苦手な父は、テレビを見ていました(笑)。
餃子包みを楽しむ家族
2,爆竹点火
春節の期間は各家庭で爆竹を鳴らす習慣があります。
※近年は環境問題に対する政府の対策として、都市では禁止されていますが、農村ではまだ規制されていません。
爆竹は以下のようなタイミングで鳴らします。夫は②、③の習慣は知らず面白がっていました。
①新年を迎えたタイミング。
②新年初の朝ごはんを食べる前。
③新年初の「車に乗って外出」をするときに、安全祈願のために鳴らします。
私は、②の隣人の爆竹音を聞くと、ふと「おっ、あそこのお宅はこれから朝ごはんを食べて新しい一年を始めるんだなぁ」なんて思ったりします。
爆竹の後、真っ赤になった地面
3,中国の「おせち料理」?
中国では大晦日の夜ご飯は「年夜飯:ニエン イエ ファン」と言って、縁起物を食べる習慣があります。日本のおせち料理と似ていますね。どんなものを食べるのか、以下でご紹介致します。
①魚料理
なぜ魚料理を食べるかと言うと、中国には「年年有余」という四字熟語があります。ちなみに発音は「ニエン ニエン ヨウ ユゥ」と言います。この熟語を直訳すると「毎年余りが出ますように」となります。ここで言う「余り」とはお金や食べ物を指しています。「魚」と「余」の発音が同じ「ユゥ」であることから、この習慣が始まったとされています。まぁ、ダジャレのようなものですね。
②レタス
レタスは中国語で「生菜:シャン サイ」と言います。発音が同じ「菜」と「財」をかけた言葉遊びです。「財」を「生」む食べものなら、食べないわけにはいかないですね(笑)。
③豚足とカニ
豚やカニは足が内側に巻き込んでいるような形状ですよね。周りのものをたくさんかき集めて、自分のものにする力がありそうというイメージから、今年一年、福を呼び込むことができますようにという思いが込められています。
④水餃子
餃子の形は中国の「元宝」に似ています。「元宝」とは古代中国(元王朝時代)の通貨です。金や銀でできており、富の象徴だったことから、形が似ている餃子を新年に食べる習慣が始まったとされています。ちなみに餃子を包むときにいっしょに小銭を入れたりします。それを食べた人は「当たり」。今年一年間、ラッキーな人になれます。飲み込まないように注意しましょう(笑)。あらゆるおめでたい日に餃子を食べることは中国人にとって習慣となっています。
また、夫が一番印象的だったことは、とにかく料理の量が「多い」ことだそうです。特徴的なものを上記に上げましたが、これだけにおさまらず、とにかく品数はもちろん、一品のボリュームもあり、とてもじゃないけど食べきれません。
その他で夫が驚いていたこと:
1,女性が男性を立てる?
近頃、「中国の女性は気が強くて、付き合うと男性は大変だよぉ」などと聞くことがよくありますが、私の実家ではそんなことありません。日本の古き良き時代と同じように、女性が男性を立てます。象徴的なのは食事でしょうか。朝早くから女性たちは食事の支度を始めます。男性は一切手伝いません(笑)。「女性が強くなった」のは、中国でもここ最近の話なのかもしれません。
母に餃子の包み方を教わる夫
2,東北弁が聞き取れない。。。
夫は中国語ができると先に書きましたが、それはあくまで標準語でのこと。私の家族は皆、東北弁を話します。東北弁は標準語と大きく異なります。発音だけでなく、単語そのものが異なることも多く、コミュニケーションをとるのが一苦労だったそうです。私の家族がスマホの音声認識に向かってしゃべっても、スマホは認識してくれません。そのくらい訛りまくっています。ちなみに夫の標準語は正しく認識してくれていました(笑)。
祖父祖母と会話を楽しむ夫
と、好き勝手にいろいろ書きましたが、農村に住んでいる人たちはとても暖かく親切です。ご興味のある方、是非とも中国の農村で春節を過ごしてみては如何でしょうか。きっと驚きの体験があなたを待っています。(フライメディア・チ)
株式会社フライメディアは、映像制作を中心に、海外、主に中国、台湾、香港のリサーチ、コーディネーションサービスをご提供している会社です。
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