香港では長らく域内感染が落ち着いている。そんな理由からか規制も少しずつではあるが少な目になってきており、人々の気持ちも、かなり明るくなってきた。
そしてこの半年ほどは、海外にもどこにも行かれなかった人々が失った時間を取り戻し娯楽を求めようと屋外へあふれ出ている。
特に休みや連休ともなると、新スポット、ショッピングモール、レストラン、ハイキング、海へ繰り出す人があふれ出る。もとより土地が狭く人口が多い香港、こうなるともう混んでいない場所がないというほどの状態になる。
そして香港で人が集まれるようになると行われる事・・・・、それがBBQや麻雀であろう。麻雀はよく知られている香港の娯楽の一つであるが、実は香港の人びとはBBQも大好きなのだ。
山へ行くとたくさんのBBQ場を目にする事ができるだろう。ちょっとしたマンションには住人専用の設備としてBBQ場がついているところもある。街中ではなく村の中の3階建ての家に住んでいる人は、その特権として屋上や庭でBBQをする、という家族も多い。
今日はそんな香港のBBQの特徴を紹介してみたい。
この日はBBQ場ではなく村に住んでいる友人宅でのBBQ。本当は屋上でBBQをする予定だったが、雨のために室内に避難。その為煙を避けるためにコンロも小さめのものを利用している。
本来ご紹介したいBBQより多少小さめのコンロを利用
ここからは香港のBBQでよく見かける、特徴的な食材をご紹介してみたい。
まずは火鍋や麺料理でお馴染みの練り物だ。牛肉ボール、チーズボール、厚揚げ、揚げ豆腐のようなもの、等など。香港の人々は火鍋や麺にこれらの練り物系を入れるだけではなく、BBQでも焼いてしまう。いわば何にでも使える食材、使いまわしのきく食材、どの家庭でも常備されている食材とも言える。
写真手前の材料の中には、牛肉ボールなどの練り物、そして厚揚げ豆腐のようなものがおかれているが見えるだろうか。
そして次によく登場すると言えるのが、食パン。
因みに香港の人びとは食パンが大好きだ。朝や昼にトーストとして食べるだけではなく、食パンを傍らに置き、仕事中などにお腹が空くとそのまま齧るという人もよく見かける。麺屋や食堂へ行くと、食パンにバターや練乳、ピーナッツバターをつけて出す店が多い。そんな簡単なものが料理としてメニューに堂々と存在し、皆頬張っているのにも驚く。
そして香港版BBQではこの食パンを串に刺して火にあぶって焼くのである。この日は自宅でのBBQであったため、炙るための串こそないが食パンは登場。ちょっとお高めの厚切り高級食パンであった。
因みに炙るために利用する串も独特。この日は自宅なので利用していないが、きちんとしたBBQ場へ行くときは火力が強いため食材を炙るために串は重要なアイテムだ。香港版BBQの串は、1メートルほどもある長い銀色のものだ。これだけ長いと火の熱も感じない。
一人一本の串を渡され、食べたいものを各々串につけて火で炙る。それぞれが長い串を持ち、火の回りに集まってゆっくりと焼き上げるのだ。この特徴的な香港のBBQ用の串は、街中のスーパーどこでもで買う事ができる。
またBBQをするために最も大切なのは「はちみつ」だ。香港のBBQでは、肉や食パンまで、なんにでもはちみつをかける。このはちみつはBBQ専用のものが存在しており、スプレー式で少し軽いテクスチャーになっているものを利用することが多い。
はちみつをかけて炙った肉や練り物やウィンナーは照りがよく、甘めで香ばしい美味しさになる。
これらのスプレーはちみつもスーパーに売られているので、気になる方はぜひご覧いただきたい。
さて、BBQも終盤になるとデザートの登場だ。デザートとしてよく登場するものは「マシュマロ」や「パイナップル」。マシュマロは日本のBBQでも登場しがちな具材なので馴染みもある事だろう。
「パイナップル」は豪快にカットした後、長い串に刺して炙るか、網にそのまま載せて焦げ目がつくほどに焼きあがる。こうして食べるパイナップルは糖分が閉じ込められて口の中で不思議な甘さが広がるようになるのである。
因みにこの香港版のBBQは長丁場だ。食べる事、話す事が大好きな香港人は食べたり焼いたり話したりしながら何時間でも仲間同士で集う。
そしてお腹がいっぱいになるとゲームや麻雀、テレビなどを見てそしてまた食べて話す。
昼間集まっても夜まで続く、それが香港式のBBQのもう一つの特徴だ。ところ変われば、少しずつ変わる。香港版のBBQ、ぜひ挑戦をしてみていただきたい。
株式会社フライメディアは、映像制作を中心に、海外、主に中国、台湾、香港のリサーチ、コーディネーションサービス、ライブ配信サービスをご提供している会社です。
本日御紹介した「香港式BBQ」関連についてもっと知りたい方、写真の使用をご希望の方は、是非お問い合わせください。