5月末頃に香港の街中を歩いていると、白いふわふわしたものが空中を漂う光景を見かける事がある。知らばい人が見れば、白いゴミや大きな雪のようなものが舞っているようにも見える。
その白いふわふわしたものの正体は、「木棉(キワタ)」の種子。
こちらが木棉の種子
木棉というのは香港各地に植えられている木。どこでもあるという訳ではないが、山に近いエリアや公園や緑の多いエリアで街路樹として植えられているのを見る事が多い。
木棉の木は香港の3~4月頃に、大きなオレンジとも赤とも言える、オレンジレッド色の妖艶な花を咲かせる。手のひら程もある巨大な花は漢方茶にも使われているとの事で、落ちた花を集めて道端で乾かす人々の様子も見る事ができる。
またこの気もちを高ぶらせ精神を向上させる花の色から、この木を英雄の木と呼ぶ事もあるそうだ。
そして1ヶ月程で花が落ちると、5月末~6月にかけて白くふわふわした棉で覆われた種が風に吹かれて空中を舞う季節が来る。
この棉で覆われた種が、まるで暑い香港に降る夏の雪のような、とても不思議な光景を生み出すのである。
知らない人が見れば、鳥の羽毛がたくさん舞っていると勘違いするかもしれない。ただのごみが舞っていると思う人もいるかもしれない。しかしこの棉の存在を知る人が見れば、季節の移り変わりを確実に感じる景色であるだろう。この光景は香港に本格的な夏が訪れる事を知らせてくれる時期と重なるのである。
公園に落ちている木棉の種
この種の回りの棉は、その見た目からも想像できる通り、コットンとしても使われているとの事。布団や枕の中の棉として利用されるそうで、この小さな棉をどれだけ集めなければならないのか分からないが、大変そうな作業であるのが想像できる。
これからますますコットンが舞う事になるであろう香港。これからの時期、街を歩くときはぜひ頭上を見上げコットンがふわふわ舞うのを見つけていただきたい。
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