迷走する台風に、超局地的なゲリラ豪雨、異常な高温など、一昔前ではあまり見られなかった極端な気象現象が頻繁に起きている感のある現代。気象の解析、予測の制度は技術の発展とともに過去とは比べ物にならないほど進化してきたことは間違いないものの、よりピンポイントで正確な天気を予想するのはますます難しくなっているのかもしれない。中国では今年、歴史的な高温が続き、四川省などで水不足が深刻化している。一方で、最近では毎年のように各地で豪雨による洪水も発生しており、気象対策が喫緊の課題の一つとなっている状況だ。
北京市で先日開かれた中国国際サービス貿易見本市では、中国で開発された気象に関する「黒科技」(ブラックテクノロジー)の数々がお目見えした。まずは、マイナス40度の超低温からプラス80度の高温までの幅広い温度環境下で機構に関連するデータ収集を行うことができる「ロボット犬」ULD3000だ。この「ロボット犬」、先日紹介した騰訊(テンセント)の新世代4足歩行ロボット「Max 2.0」のようなボディに、各種の観測装置を取り付けたもので、人が立ち入ることのできない劣悪な環境の中で、温度、湿度、気圧、風向風速、日射、大気中の微細粒物といった気象観測データを収集できるほか、移動中にも風向風速を測定することができるのだという。
続いては、よりピンポイントな気象情報を収集するための新しい気象レーダーだ。従来の気象レーダーは全空域のスキャンに6分もの時間がかかっていたが、今回展示された新しいレーダーはわずか30秒で実現でき、分解能も従来の1キロメートルから30メートルへと大幅に性能アップしている。このレーダーがあれば「ここでは全然雨が降っていないのに、100m先では土砂降り」という状況も正確にキャッチできるというわけだ。
さらに、中国初という自国開発の台風災害モデリング、リアルタイム損害評価プラットフォーム「風眼」は、気象情報と経済、金融など他分野との連動の可能性を切り開くものだ。「風眼」による台風の災害モデルは、災害保険製品の開発、料率決定、支払い請求対応、リスクマネジメント、保険プランニングなどのサポートとして用いることが想定されている。しかも、行政や各種産業向けのソリューションプランや、カスタマイズ化されたより精確な防災減災サービスを提供することができるという。
気象情報と経済分野の連動という点では、中国中央気象台と大連商品取引所が共同で開発し、今回の見本市で発表された「温度指数」にも注目だ。中央気象台による北京やハルピンなど各基準都市のデータを、大豆やトウモロコシといった農作物の生育状況や価格の変動トレンドの予測に用いるためのもので、農業生産者はこの指数を参考に収穫量と価格を想定し、早い段階から生産運営計画やリスク管理計画を立てることが可能となる。
気象に関連した「黒科技」は、今後もますます発展していくことだろう。そして、技術が新たなものへと世代交代するとともに、われわれの気象現象や気象災害に対する意識や警戒感も過去の経験を過信することなく常に新しい状態にアップデートすることも大切だ。
(出典:https://tech.huanqiu.com/article/49XZ5YmRzFn)
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