香港人には日本好きが多い。日本の食べ物や観光地は勿論であるが、その季節、その時にしか見る事ができない日本ならではの光景にも強い憧れや情熱を抱いている。とりわけよく話を聞くのが春の桜や秋の紅葉、そして冬の雪景色である。日本で桜が咲く季節は香港のイースターホリデーと重なる事が多く、この時期の日本行きのチケットは高値がつけられ、ローカルの旅行会社では桜の開花予想に合わせた高額なツアーが売り出される。

そんな日本を愛する人々が多く住む香港だが、この香港でも２月～３月頃になると域内の数か所で桜を見る事ができる。勿論自生の桜ではなく、他の土地から持ち込まれて植樹されたものである。中でも日本人墓地に植樹さている桜は、日本からやってきた河津桜の木として有名なものだ。これらの希少な桜スポットは香港でも大切にされ、桜名所として知られているのである。

そして今年、一躍大人気の桜スポットとなった場所がある。それは空港にほど近いランタオ島の東涌という場所にある「東涌櫻花園（Cherry Blossom Garden）」である。この東涌櫻花園はMTR東涌駅から徒歩１５～２０分程の空港寄りのエリアに位置しており、香港国際空港により管理をされている場所だ。空港と市内を結ぶ途中にあるとあって、空港到着後にバスで東涌市内まで行く際に、バスルートによってはこの桜をみる事ができるという。到着してすぐに満開のピンクの桜を目にできるとは、なんとも奇遇で嬉しい出迎えになる事であろう。

この「東涌櫻花園（Cherry Blossom Garden）」の周辺は、本来はフェンスで囲まれていた場所であるらしい。そこに中国本土の広州から８０本以上を超える桜が持ち込まれた。そしてこれらの桜の木は立春を迎えるとともに花を咲かせ始め、２月１２日現在でほぼ満開を迎えたのである。

満開を迎えた８０本の桜の木々を一目見ようと、この週末には正に文字通り大勢の人々が列をなして訪れていた。

桜を一目みようと歩いてスポットへ向かう人々の大行列ができている。交通整理の人々も多く出動。

スポットまでの道のりには、このような案内盤が所々に設置されている

桜が満開を迎えた2月上旬の週末は大勢の市民が日本より一足早い春を満喫した。

コロナ規制の元ではこれほど迄に多くの人々が集まるイベント開催はとてもではないが難しいものであった。2023々に解かれほぼ自由になる事ができた今、市民はコロナ規制のほぼ解けた行動の自由を、春の訪れとともに謳歌しているのである。

近くで見てみると確かに桜の形をしている花が美しい。そして日本の桜よりも濃いピンク色の花はとても艶やか。

桜に加えてこのスポットのもう１つの楽しみは「ゴンピン３６０」というケーブルカーである。以前このブログでもご紹介をしているランタオ島の大仏と東涌エリアを結ぶケーブルカーが、まさに桜スポットの上を走り抜けている。

この香港のアイコンとも言えるゴンピン３６０ケーブルカーと桜のコンビネーションという光景は、桜の花が満開となるこの瞬間しか見る事ができない特別な景色である。

このように多くの人々を喜ばせている東涌櫻花園。来年も美しい花を咲かせ、世界中からの到着客や香港市民の憩いの場となって欲しいものである。

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