新型コロナウイルスの感染拡大が始まってからまもなく2年が経とうとしている。度重なる感染の波、そしてデルタ株に代表される変異種の出現により日本を始めとする世界各国が「コロナ禍」に苛まれ、人の往来、文化や経済の交流が寸断されてきた。ワクチンの接種が進むに連れて感染状況は落ち着きを見せつつあるようだが、これから冬の感染症シーズンに入る北半球では新たな感染拡大に対する憂慮も広がっている。
感染の拡大を抑えるためには、感染検査を引き続き実施していくことが大切だ。現在行われているPCR検査は、鼻の穴もしくは口からに長い綿棒を突っ込んで咽頭部の粘膜組織から検体をこすり取る、あるいは唾液を使うといった方法だが、特に鼻に綿棒を突っ込む検査は短時間とはいえ苦痛を伴う。検査をさらにスムーズに、効率よく行うためには可能な限り苦痛を伴わない検体採取方法が好ましいが、このほど中国では呼気から新型コロナウイルスを検出する新たな検査方法の開発に成功したという。
開発したのは北京大学環境学院の要茂盛教授の研究チームと、北京市朝陽区疾病予防・コントロールセンターなどからなるグループだ。新しい方法では、袋の中に息を30秒間吹き入れるだけで検体採取が完了する。しかも、従来の検査方法では結果が出るまでに24時間必要だったが、この方法では最短で5〜10分以内でスクリーニングが可能に。スタッフの作業も簡素化でき、息を吹き入れるだけで終わるので検査を受ける市民も長時間列に並んで待つ必要もなくなる。入国時の検査などスピードが求められる場面での活用も期待される。
要教授によれば、実験の結果新型コロナ肺炎を含む呼吸器系疾患患者の呼気中では、多くの指標が顕著に上昇または低下していることが明らかになったという。そのうち12種類の重要な内因性揮発性有機物の指標を用いることで、被験者が新型コロナに感染しているかどうかを特定することができるとのこと。「われわれのモデルによるデータでは、正確度は概ね95%に達する。新型コロナに感染している人、していない人を確かに分けることができる」と要教授は語っている。
また、PCR検査では「偽陽性」などの問題がしばしば発生するが、呼気検査を行うことによって、PCR検査だけでは不十分な感染者のスクリーニングをより確実なものにすることができるという。呼気の揮発性有機物の分析技術自体は非常に成熟した技術であり、今後検査機器の量産が実現すればより低コストで信頼できる新型コロナ検査体制が構築されるとのことだ。
コロナの感染リスクを少しでも下げるために日常的にマスクをするのは、コロナウイルスが呼気を通じて感染するからに他ならない。そう考えると、呼気から感染の有無を検査するというのはごく自然なことのように思える。今回開発された検査方法が実用化されれば、中国のみならず世界の感染抑止に大きく貢献することだろう。
(出典:https://c.m.163.com/news/a/GMS76VMC0534NAC7.html)
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