少子高齢化が社会や経済の発展に深刻を影響を与え始めている日本と同様、これまで急速な経済成長を遂げてきた中国でも急速な高齢化の波が押し寄せている。国家統計局によると、2022年末現在で中国の人口に占める65歳以上の高齢者の割合は14.9%で中度高齢化の段階にあり、今後その割合は上昇を続ける見込み。AIやビッグデータを駆使した技術も、来たる超高齢化社会の備えとして利用されつつある。中国メディアがこのほど「スマート高齢者ケア」を実現する先進技術を分野別に紹介した。
■「衣」 転倒時の大けがを防ぐ、エアバックジャケット
身につけるスマートグッズとして紹介されたのは、転倒防止ジャケットとスマートウォッチ。転倒防止ジャケットは見た目こそ普通のジャケットのようだが、内部にエアバッグが装着されており、内蔵の半導体が装着者の体重移動をモニタリングし、つまずくなどでバランスが崩れたことを検知すると直ちにエアバッグが膨らんで装着者を防護する。頭や首、背中などの部位を重点的に守り、お年寄りが骨折などの重傷を負うのを防ぐ。また、装着者の運動状態をモニタリングし、運動の意図を感知して足腰の運動をサポートする骨格ロボットも、高齢者の生活の質を高めるツールとして普及が期待されている。
■「食」 手の震えを感知し、矯正するスプーン
加齢や病気の影響によって手が震え、食器がうまく持てないお年寄りに役立つのが「スマートスプーン」。柄に内蔵されたセンサーが手の震えの軌跡をモニタリングし、リアルタイムで矯正してくれるので、自分で食べ物をすくって難なく口に運ぶことができる。また、食事の後に服用する薬についても「スマート薬箱」を使えば、服薬データや病歴、処方に基づき毎日の服薬計画を自動で設定し、リアルタイムで服用をお知らせするので、毎食後に家族がその都度「おくすり飲まなきゃダメよ」と促す必要がなくなるという。
■「住」 高齢者の日常を見守り、異常を素早く感知
ガスや煙、浸水などの各種警報機はモニタリング対象物質が基準値を超えると自動的にコミュニティや高齢者介護機関、家族のスマホアプリに通報してくれる。また、床にスマートラグを敷けば、人体から出る微弱な振動信号からお年寄りの呼吸や心拍データを日常的に取得でき、異常を発見しやすくなる。上海市などでは一人暮らしのお年寄り向けにスマート水道メーターが設置されており、12時間以内の水使用量が0.01立方メートル未満だった場合にコミュニティに通報をするシステムになっている。このほか、大小便や室内移動、入浴のケアや、お年寄りとのコミュニケーションを担う各種ロボットも開発が進んでいる。さらに、日常の出入りの時間や頻度データを取得し、一定時間開閉が行われなかった時に家族やコミュニティに通知するスマートドアも、お年寄りの命と安全を守る上で非常に有効なツールと言えるだろう。
これから間違いなくどんどん進んでいく高齢化社会。一人暮らしのお年寄りの増加、下の世代の介護負担増といった課題を前に「スマート高齢者ケア」ツールが次々と開発されるのは非常に心強くありがたいと感じるが、社会に広く普及しなければ意味がない。費用を抑えてどんな家庭でも気軽にさまざまなツールを利用できるようにすることも、行政に課せられた大きな課題の一つだ。
(出典:https://sghexport.shobserver.com/html/baijiahao/2023/11/01/1165981.html)
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