上海市の南西に「松江区」というエリアがあることを知っている外国人観光客は少ないかもしれない。上海市内に在住する日本人によく知られているのも、松江区に日系や外資系企業の工場が多数進出していることだ。
路面電車が停車する無人駅(上海)
今でこそ地下鉄9号線が開通し、松江区までの交通アクセスが便利になっているが、地元の上海人からしても「松江って上海市なの?」と言わせるほど、かなり遠い郊外というイメージ。それもそのはずで、松江区はもともと江蘇省から上海市に組み込まれていて、交通の便がよくなったとはいえ、市中心から松江区へは、地下鉄利用で1時間以上かかる。
工業区をのんびり走る路面電車(上海)
さらに言えば、この松江区内を走る路面電車(松江有軌電車)の存在を知る人も多くはない。利用客も少ないと言う。松江区にある日系の工場に勤める日本人駐在員に言わせると、「路面電車が通っているのは知っているが、一度も利用したことがない」。自宅から勤務先までは、会社が手配する車両で移動し、工場に着けば、帰宅するまで、外に一歩も出ないからと、その理由を説明する。
始発駅ホームに停車中(上海)
松江の路面電車が開通したのは、2018年。現在、1号線(T1)と2号線(T2)という2本の路線があり、のどかな街並みから、工業区までをゆっくりと運行している。いざ、乗車してみると、車内は広々としていて、大きな窓で景色も見やすいのだが、思っていたよりも座席数が少ない。
利用客も少ない平日の昼下がり(上海)
また、無人駅で、駅前近くの商業街に停車する駅以外、工業区に入ると、ほとんど人影を見ないので、出入場時の改札でトラブルがある場合はどうするのか?と余計な心配までしてしまう。
工業区は、当然、工場が建ち並んでいるので、景色は「グレー」一色だが、松江区のこうした風景を車窓から眺める、ゆったりとした時間を過ごすのもまた旅の醍醐味だ。一般の観光ツアーではなかなか味わえないルートでもある。鉄道マニアにはとても魅力的なツアーになるかもしれない。
ホーム入る車両を待ち受ける地元の撮り鉄⁉︎(上海)
ちなみに、路線バス、地下鉄やタクシーなどで使える上海交通カードでの乗車も可能だが、あえて自動販売機で、コイン型の切符を購入してみるのも遊び心があって良い。
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