11月3日、日本の「文化の日」に、一般社団法人日中科学技術文化センター上海代表処主催、NPO法人日中学術文化交流センターの共催で、日中文化交流イベントが上海で開催された。
2022年は日中国交正常化50周年の記念すべき年であるが、コロナ禍下で多人数の集まるイベントの開催が厳しい状況の中、長年日中文化交流に熱心に取り組んでいる関係者の思いと努力により、今回「日中匠心文化跨界創新」をテーマとした交流会が実現。交流会には日中伝統文化におけるそれぞれの分野の第一線で活躍されている臉譜(れんぷ)アーティスト・孫国康さん、菓道家・三堀純一さん、茶藝師・大高勇気さんらが参加。二部構成で、第一部では、各分野における「匠」が伝統と革新を融合させた独創的なパフォーマンスを披露し、会場につめかけた参加者を魅了した。
躍動感あふれる京劇の「臉譜」アート作品(孫国康さん作)
第一部は孫国康さんと三堀さんのコラボレーションによるパフォーマンスで始まった。孫国康さんは両親とも著名な京劇役者で、幼少時より京劇の臉譜に親しんでいた。日本(神奈川県)に滞在していた経験もあり、日本の伝統芸能に対する造詣も深く、三堀さんの顔に京劇と歌舞伎の臉譜を融合させた、オリジナルの「中日梨園神韻メイク」を描き、日中両国文化の伝統継承への思いを「跨界創新(クロスオーバーイノベーション)」で表現した。ちなみに臉譜とは中国の伝統芸能・京劇における隈取(くまどり)のこと。
孫国康さん(左)が描く臉譜アートの世界(上海)
その思いを受け継ぐかのように、三堀さんは、顔に描かれた「中日梨園神韻メイク」のまま、照明を落とした演出の中、練り切りや針切りといった伝統的な技術・技法に革新的な発想を加えた圧巻のパフォーマンスを披露。その厳かさと美しさに会場から思わず感嘆のため息がこぼれた。
菓道家・三堀純一さんのパフォーマンス(上海)
そして、中国茶に魅せられて、現地でおよそ20年にわたり中国茶を学び、日本中国茶交流協会を設立、「大高勇気茶」というブランドをたちあげている大高さんは、安心・安全な中国茶づくりを通して感じている「一つのことに対して真剣に取り組み、着実に継承していくこと」の重要性、「継承には歴史と文化の2つの要素が必要」という思いを伝え、その取り組みは参加者から共感を得ていた。
中国茶に対する情熱が伝わる大高勇気さんの講演(上海)
第二部では、「伝統文化の継承と創新(イノベーション)」についてのパネルディスカッションを実施。伝統文化のもつ役割と発展について熱く意見を交わした。
文化交流の「創新」を熱く呼びかける楊文櫻理事長(上海)
総合司会をつとめたNPO法人日中学術文化交流センター・楊文櫻理事長は、「日中両国の伝統文化の伝承と創新は、民間の文化交流にとっても重要な課題。今後も、このような伝統と創新がおりなす新たな文化づくりへの挑戦をはじめ、多岐にわたる交流を通じて、異文化の相互理解や伝統文化の継承・発展のために尽力したい」と、50周年の節目を迎えて、決意新たに力強く語った。
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