香港は3年振りに訪れた”マスク無しのイースターホリデー”の最中である。そしてホリデー中日となる4月9日は、九龍(カオルーン)地区の九龍城では「香港版ソンクラーン・フェスティバル」が開催された。
この香港版ソンクラーンは「龍城HAPPY潑水嘉年華」という名のイベントだ。
イベントが開催された九龍城は、下町の特色が色濃く残る いわば昔の古き良き香港の面影を残すエリア。そしてこの九龍城は「リトルタイ」とも呼ばれており、その名の通り街中では数多くのタイ料理店やタイ食材店を見る事ができるグルメエリアとしても知られている。
九龍城「リトルタイ」では毎年のようにソンクラーンの時期にフェスティバルが行われていた。しかしながらコロナの為にイベントが数年間中止となり、今年はやっと3年振りに復活。そのため多くの人々がその復活を喜び、より盛大に祝い、更なる盛り上がりを見せたのである。
ちなみにソンクラーンについて補足をさせていただくと、ソンクラーンとは毎年4月13日から15日に設定されているタイの旧正月の事である。本来は仏像や年長者などの手に水を掛けてお清めをするという伝統的な風習があったそうだが、現在では市民や旅行者が混ざり合い お互いに水を派手にかけあう「水かけ祭り」として広く世界に知られるようになった。
そして本場のソンクラーン同様、香港の「リトルタイ」でもこのフェスティバル中はお互いに水をかけあったり、様々なイベントが行われたりと非常に盛り上がりを見せるのである。
九龍城にはこのような多くのタイ、アジアの食材店や雑貨店が軒を連ねている
今年の「龍城HAPPY潑水嘉年華」のイベントのメイン会場は賈炳達道にあるサッカーコート(広場)。中央には舞台が設置され、「ミス水かけ祭り」コンテストや地元の人々によるミニコンサートが行われ大盛り上がりを見せたほか、舞台の回りには事前に配られたチケットで交換ができる飲み物・食べ物・マッサージ体験等のブースがあったり、ムエタイのリングも設置され白熱するムエタイ競技を間近で見る事ができた。
ブースで行われていたタイのフルーツカービングの実演
ムエタイ(タイのキックボクシング)では多くの試合が行われた
ミニコンサートは観客も混ざり、老若男女が一緒になって歌い、踊りあかしていた
そしてサッカーコートを出て街を歩けば、多くのタイ系商店の前には仏像が設置されているのが目につく。その仏像の前を歩く人々は仏像に水をかけながら祈りをささげており、香港にいながらタイの文化を間近に感じる事ができる。また街のメイン通りである城南道は車両通行が禁止され、大勢の人々が水鉄砲を片手に走り、追いかけながら水を掛け合い、ソンクラーンを心から楽しんでいた。
歩行者天国ならぬ、水かけ天国となった城南道
道路の至るところには大きなバケツが置かれており、ここが水鉄砲の給水場となっていた
特に子供たちは大喜びしながら、3年振りのソンクラーンを楽しんでいた
この日九龍城を歩く人は濡れてもよい恰好をしたり、水かけに参戦する人々は水着や雨合羽で防備をしている。
この日最も売れ行きが良かったと想像される商品は「水鉄砲」。大きなものから手軽なものまで、この日これほどまでに水鉄砲が売られていたのは香港内では九龍城だったと想像できる。
4月9日のフェスティバル当日、九龍城は街全体がお祭り騒ぎであった。大きな音や歓声が聞こえる場所を見てみるとソンクラーン特有の水や白い粉をかけあっていたり、大勢の人が歌っていたり踊っていたりと、それはもう賑やかであった。
様々な文化や人々が住む国際都市、香港。昔の雰囲気を残しながらもタイの異文化も感じる事ができる九龍城は、訪れる価値のある場所である。そして九龍城を訪れる場合、ぜひソンクラーンの時期を狙っていただくと更にタイ文化を感じる事ができるであろう。
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