深刻な大気汚染と水質汚染が世界的な注目を集めるようになり、積極的な環境保護に乗り出した中国。北京や上海をはじめとする各地でゴミの分別回収も始まっているが、回収した資源の再利用技術の発展も進んでいる。ペットボトルなどのプラスチック資源を衣服に再利用する技術の開発もその一つだ。
■国際輸入博で「ペットボトル5本の防寒服」が注目
昨年11月に上海で開かれた第2回中国国際輸入博覧会で、米素材メーカー3Mが「ペットボトル5本を回収すると作れる防寒服」として、全てリサイクル材料で作られた環境に優しい防寒服を発表して注目を集めた。同博覧会ではほかにも各国メーカーが再生材料を用いた製品を数多く発表しており、中国を環境保護製品の重要なマーケットとして位置付ける姿勢が見られた。
新型コロナウイルスの感染が拡大する前の今年1月には、大手ECサイトの京東とコカ・コーラ中国が配達員を利用した家庭のペットボトル回収試験が行われ、現地のおよそ5万世帯が参加。回収されたぺっとボトルは各種再生材料となり、その一部で京東の配達員のユニフォームも作られたとのことである。
■再生材料専門のファッションブランドも登場
上海のファッションブランド「好瓶」(HowBottle)の創始者兼CEOの黄寧寧さんは、アリババでの職務を経たのち2017年にブランドを立ち上げた。回収したペットボトルからレインコート、Tシャツ、バッグ、靴など様々なファッション用品を製造している。3年間で50万本近いペットボトルを衣服や生活用品に再生し、約20トンの石油資源節約につなげたという。
■古着のリメイクによる「持続可能なファッション」も
また、使い古した衣服を再利用して生まれ変わらせる取り組みを進めるデザイナーもいる。張娜さんは2011年にRefuse、Recycle、Rebirthをコンセプトとした持続可能なファッションブランド「再造衣銀行」(Reclothing Bank)を立ち上げて10年になる。古い衣服を洗浄して切り取り、これを自らのデザインセンスを生かして繋ぎ合わせ、新しいファッショナブルな衣服を生み出すという取り組みには当初否定的な声もあったようだが、今では多くの支持者を得ている。
固定観念に捉われず、良いと思ったものはどんどん取り入れていくのが中国のスタイル。二次元コードを使用した急速なキャッシュレス化がその最たる例だが、再生材料を用いた「持続可能なファッション」の文化も今後急速に浸透していく可能性を秘めている。
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