上海で、飲食店での「食べ残し」についての関心が再び高まり始めている。これまでもフードロス削減の一環として、「光盤行動(グァン・パン・シン・ドン/食べ残さないで、お皿を空にしようと呼びかける運動)」というキャンペーンはあったが、最近になり「食べ残す」量を減らすためのより具体的な方法や取り組みが見られるようになった。
数年前からスタートしている「光盤行動」キャンペーン(上海)
例えば、近年、飲食店で料理を注文するとき、食べきれる量で注文するようにスタッフがアドバイスをする店舗や、明確に「N-1」スタイルで注文するように勧める店舗も登場している。ちなみに「N-1」スタイルとは“人数より一人分少なく注文すること”。4人で食事をするのであれば「4-1」で、3人分で注文することを推奨している。足りなければ追加注文ということだが、これもこれまでの中国の食文化(客人をもてなすときは、食べきれないほどの大量の料理を注文あるいは準備し、招かれた方もわざと食べ残すのが礼儀とされた文化)からすると、驚くほどの変化だ。
飲食店のテーブルにも「光盤行動」でフードロス削減へ(上海)
また、コロナ禍の影響を経て、お家で巣篭もり、デリバリーサービスを利用する人が多くなったことで、飲食店でも大皿メニューのほかに、量を減らしたハーフメニューや小皿メニューなどを充実させ、少量・少人数でのニーズにも対応している。
そのような流れの中、デジタル化が進んでいる現地ならではで、フードロス削減への取り組みに、Wechatミニプログラム(微信小程序/ダウンロードなしで使える、アプリの中のアプリ)を使ったユニークな方法が注目されている。それが「光盤打卡(グァン・パン・ダー・カァー)」で、食後、食べ残さずに完食したお皿をスキャンすると、AIが自動で画像認識し、ポイントとして記録される。ポイントが貯まると商品に交換或いは環境保護や公益活動に寄付できるしくみだ。ちなみにこのスキャンは、1日3回のみ有効。
ミニプログラム「光盤打卡」(上海)
実際に利用してみたところ、完食した後にスキャンするだけなのだが、それがポイントになると、不思議と「達成感」、「満足感」が得られる。お皿以外、例えば、ファストフードのハンバガーが入った紙パックなどは正確に画像認識できないようでエラーになるし、お皿でもあまりにきれいすぎるお皿だとこれもエラーになるといった課題は残っているが、デジタル世代への「フードロス削減」PRとしては効果が高い。
近年、環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)などが話題にあがるが、身近なところで、自然とフードロス削減への意識を高めることができるとあり、大学生をはじめ、若者世代でこの「光盤打卡」の利用者が増えている。
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