情報技術やデジタル技術、ロボット技術といった先進技術の急速な発展に伴い、日常生活の様々なシーンで「スマート化」の波が押し寄せている。中国山東省には、中国ひいては世界のキッチンのスマート化を進めるべく日夜取り組んでいる小さな町がある。
■「中国スマートキッチンの都」
山東省浜州市博興県興福鎮は「中国スマートキッチンの都」と称されており、ここで開発された「自動炒め機」は1000種類もの料理を自動で作ることができるという。例えば、中国を代表する日常的な家庭料理「家常菜」の一つである「トマトと卵の炒め物」は、下ごしらえした食材を鍋に入れてメニューを選択するだけで調理が始まり、設定に基づき調味料を自動で加えるとともに、鍋を上手に返しながら炒めてくれ、設定時間通りに美味しそうな炒め物が完成する。現地ではこのような「スマートキッチン用品」が多数開発、生産されているのだ。
■既存の基幹産業を変革、スマート化開発に注力
同県はもともと中国最大のステンレス製業務用キッチン用品生産基地で、業務用ガスコンロ、電磁調理器、冷凍庫など数千種類の製品を生産。中国国内で40%の市場シェアを持ち、海外にも多くの地域に輸出している。そしてここ数年では、地元の各メーカーが業務用スマートキッチン機器の研究開発に力を注いでおり、スマート機能を備えた自動食器洗い機や万能スチームオーブンなど数多くの製品が業務用キッチン市場における「セントラルキッチン」化のニーズをカバーしている。あるメーカーが開発した万能スチームオーブンは、内部に時速100キロという高速の風を吹かせることができ、これにより名うてのコックが実際に調理した際の効果を再現することができるのだとか。なおかつ、一度に大人15人分の調理が可能で、ご飯を炊く、スープを煮込むといった基本的な料理から少々手がコンだ料理まで200種類を簡単にこなせるという。大人数が利用する食堂などにとっては非常に心強い存在になるはずだ。
■効率、品質、安全性以外にもあるキッチン機器スマート化の意義
デジタル制御、IoT、AI人工知能、グリーンエネルギー制御などの技術を駆使した「スマートキッチン」機器は食の安全や料理の安定した品質を保証するだけなく、環境保護や省エネにも大きく貢献が可能。キッチン全体の省エネエコシステム構築も地元企業が取り組む大きなテーマ、目標になっている。例えば、スマートガス調理器の廃熱を食器洗浄機に供給することで、食器洗浄機が消費するエネルギー消費を約4割削減したり、インテリジェント監視機能を搭載し、調理機器のスイッチを入れると自動的に必要な風量を計算して制御する換気システムによって、従来のシステムに比べて約60%の省エネ率を実現したりといった具合だ。
■目指すは「世界スマートキッチンの都」
2018年に「中国のスマートキッチンの都」という異称を手に入れた同鎮は、スマートキッチン機器の設計開発、製造、サービスの完全な産業チェーンが形成した。今後は中国における飲食産業の新たな変革の流れをつかみ、産業分野のさらなる充実、セントラルキッチンとコールドチェーン設備の産業チェーン拡大を進めつつ、より種類が豊富で充実したシステムを備え、関連産業との高い相関性を持つ業務用キッチン用品産業クラスターの構築を目指す。また現在50以上の国・地域に輸出している海外事業についても「世界のスマートキッチンの都」となる目標を掲げ、各地のカスタマイズ需要開拓に力を注ぐ。
(出典:https://www.chinanews.com.cn/cj/2024/02-13/10163412.shtml)
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