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2023.12.04
創業は清朝・1800年!上海で最も長い歴史を持つ老舗「老人和飯店」を紹介

上海の淮海路(フワイハイルー)は、沿道に各種商店が建ち並び、いつ行っても人で賑わっている界隈。その中でもひときわ存在感があるレストラン「老人和飯店」。由来を知らないと、その店名からして初めて見た人に「老人向けレストラン?」と思ってしまう名前である。

 

 

 

 

「老人和飯店」は上海の老舗レストランの中で最も歴史が長く、創業は清の時代の1800年頃と言われており、記録に残っている上海のレストランで最古のものとされる。既に200年を越える歴史があるお店なのだ。上海老字号(老舗)ブランドにも公式認定されている。

 

 

「老人和飯店」の歴史を紹介すると、当初の名称は「人和館」だった。「人和」とは人の和を意味する。「人和館」は創業以来、上海人が古くから住む街・城隍庙(現在の豫園があるエリア)付近で営業していた。1930年代後期、戦禍を避けるために旧フランス租界エリア、現在の金陵中路に移転。そのとき、同時期に付近で同名のレストランができ、訴訟問題に発展。和解案として、後から同名レストランが「新記」人和館、元からあったレストランが古いを意味する「老」を付けた、「老」人和館の名称になることが決まった。これが「老人和」の由来である。

 

 

一説によると、「老人和飯店」はその名称から、「老人向けのレストラン」と勘違いされることが多くなったため、それを逆手にとり、老人に人気の価格が安いメニューを積極的に打ち出すことにし、「糟貨(ザオフオ。後で詳しく説明する)」を看板メニューとし、人気を集めたという。その後店舗の移転を経て、2014年淮海路に旗艦店を開業した。

 

 

 

「老人和飯店」では1階沿道に惣菜売り場を設けており、ここで特製の「糟貨(ザオフオ)」を中心に販売している。この「糟貨」特に夏場に人気で、暑い中、多くの人が「老人和飯店」の「糟貨」を求めて行列をつくっている。

 

 

「糟貨」とは、黄酒(上海を中心とする江南エリアでよく飲まれる醸造酒。米、もち米、アワなどが原料。紹興地方で生産される紹興酒が日本人の間では有名)を醸造した際にできる酒粕に黄酒を加え、更に花山椒、陳皮、ショウガ、ナツメグ、八角等のスパイスを混ぜ入れる。その後、一定期間置いておいた上澄み液が「糟卤(ザオルー)」と呼ばれる漬けダレとなる。この「糟卤」に肉や魚介類、野菜等の食材を漬け込むと、黄酒と香料の風味豊かな糟貨になる。いわば、日本でいう浅漬けのようなものであるが、酒の香りが強めなのが特徴である。上海の一般家庭でも夏場を中心に家庭でも作られており、上海のスーパーでは食材を漬けるだけで糟貨ができる「香糟」が売られている。

 

「老人和飯店」は特に「糟卤」の製法にこだわりがあり、材料を混ぜ合わせた後、布の袋に入れて丸一日吊るし、布の袋から滴り落ちた「糟卤」を使う、吊るし製法を採用している。また、「糟卤」を作る際の黄酒は5年以上熟成させた紹興酒を用いることも特徴である。また、少量の白酒(コウリャン、トウモロコシ、イモを原料とした蒸留酒)も加え。香り高く仕上げているとのことだ。

 

そんな「老人和飯店」で食事する機会があったのでその様子を紹介する。レストランフロアは少し懐かしさを覚えるような、昔ながらの洋食屋のような雰囲気。しっかりとしたお店の印象を与える。

 

 

「老人和飯店」に来たからには、「糟貨」は必ずオーダーしたい。まずは「糟全併(ザオチュエンピン)」という、糟貨の盛り合わせ。茹でた殻つきエビ、素鶏(大豆食品の一種)、タチウオ、枝豆、皮付き豚バラ肉スライスの糟貨がひと皿にまとめられている。黄酒の香りとしょっぱみがある味わいが、食材のうまみを引き出している。さっぱりとしているものの、香り豊かでついつい箸が進む。前菜にぴったりなメニュー。

 

 

 

お次が「苔条小黄魚(タイティアオ シャオフアンユー)」。黄魚は上海エリアでよく食べられる、和名をフウセイという、イシモチに似た白身魚。その身を海苔の風味がある衣をつけて揚げたもの。フウセイはクセがなく、柔らかくふわっとした身でとても食べやすい。衣のさくさくと軽い食感と相成り美味しかった。

 

 

「花蛤熗猪肝(ファーグー チャン ジューガン)」。「熗(チャン)」とは中華料理の製法の一つで、材料をさっと茹でてから調味料を加えて混ぜ合わせる意味がある。食材はアサリとブタのレバー。こちらのメニューはその名の通り、アサリもレバーも火が通り過ぎて固くなることなく仕上がっていた。

 

 

「響油黄鳝(シャンヨウ フワンシャン)」。黄鳝は和名タウナギ。淡水に住み、日本でイメージするうなぎよりは小ぶりで茶色い色をしている。響油=響く油、とは言い得たもので、仕上げにグツグツを沸かせた油をかける。その際の音が「ジャッと」響くことから、この名がついた調理法である。上海料理の特徴を表した「濃油赤醤(油と醤油多めの料理)」を体現したかのようなメニューである。食べる前に混ぜ、表面に散らされているねぎ、にんにく、コショウの味が回ると、甘辛く味付けされたタウナギの身ににピリっとした味が加わり美味。

 

 

締めに頼んだのが「生煎包(シェンジエンバオ)」。「焼きショーロンポー」と訳されることも多いが、ショウロンポーと似ているのは外見で、生煎包の生地はショウロンポーとは異なり肉まんのようなふわふわした生地である。こちらの生煎包は、しっかりと肉汁があり、ジューシーな生煎包だった。

 

 

お腹もいっぱいになり、老人和飯店を後にした。店内は清潔で、店員のサービスも良く、落ち着いた雰囲気で上海料理の定番を楽しみたい、という旅行客におすすめのお店である。

 

■老人和飯店

所在地:淮海中路558号

営業時間:11:00~14:00、17:00~20:00

 

 

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