上海で中国らしい建物や景色に出会える観光スポットといえば、豫園(よえん)が有名だが、その豫園から20分ほど歩いたところに、豫園よりもディープで、上海の下町情緒あふれる穴場的なスポット「文廟(wen miao/ウェンミャオ)」がある。
高層ビルが見守る中、ひっそりとたたずむ
この文廟は孔子を祀る廟で、700年の歴史がある。上海市の指定文化財として保護されているものの、豫園ほどの賑わいはなく、喧噪とはかけ離れた静寂な世界が広がり、孔子像をはじめ、文廟に一歩入ると、厳かな雰囲気が漂っている。
新緑が美しく映える庭園は四季折々の風景を楽しめる
日本からの観光ツアーではほとんど訪れることはないが、上海在住の欧米人を中心に時おり観光に訪れる外国人の姿も見られる。文廟内には講堂や庭園もあり、ゆっくりまわれば半日はかかり、文廟内でまったりと季節ごとに移り変わる景色を楽しむ地元の人も多い。
廟内に祀られる孔子像
文廟観光後は、その周辺の散策がおすすめ。実はこの文廟があるのは、上海で女子中高生やアキバ系男子が集まる「上海の下町」と呼ばれるエリアだ。文廟周辺には学生たちが好む安カワの文具、アニメグッズ、プラモデルやラジコンなどを扱う店がずらりと立ち並ぶ。
日本語の看板もあるアニメストリート?
その周りにせまく入りくんだ路地があり、長屋風の低い民家が密集していて、古き良き上海を感じることができる。下町に生活する人たちの赤裸裸な生活様式や昔ながらの風情を垣間みることができ、観光ツアーで有名なスポットとはまた違う上海の一面が楽しめる。
公道も全く気にしないたくましさにびっくり!
カラフルで鮮やかな洗濯ものでいっぱいの路地
道路沿いにある共同の台所やトイレ、頭上にたなびく洗濯もの、電線や交通標識を利用した洗濯干しなどいたるところに生活感を感じ、せまい路地で日光浴をするおじいちゃんや井戸端会議をするおばあちゃんたちに出会っては、何となく懐かしさや親近感を感じてしまう、そんな温かい気持ちになるエリアだ。
これはこれで、アート作品のようでもある
路地を囲むようにそびえる近代的な高層ビルとの対照が今の中国の経済発展をより強く感じさせている。近年の急速な発展にともなう再開発で、上海市内でもこうした歴史を感じさせる住居が次々と取り壊されている。この下町もいずれは取り壊されてしまう運命かもしれないが、しばらくはこの下町文化を楽しめそうである。
文廟:地下鉄8、10号線「老西門」駅から徒歩10分。入場料は大人10元(約170円)/名。
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