小型で軽く、どんなところへも飛んでいくことができるドローン。その用途はますます広がる一方であり、特にこれまで人間が入ることのできなかった場所の観察やパトロールなどで威力を発揮する。中国ではこのほど、山深い密林に隠れていた遺跡をドローンで調査する取り組みが行われた。
■人が入れない山奥の古城をドローンで調査
中国のドローン大手・大疆(DJI)が陝西省西安市の西北大学文化遺産学院と協同で、河南省南陽市方城県にある博望故城や金湯寨古城、梁城、方城、聖井寺古城、棘陽城のドローンを用いた調査を実施した。これらの遺跡はもともと深い山や鬱蒼とした森に隠されていたり、現代の建物に覆われていて直接発見できなかったりしたほか、すでに損壊していて僅かな跡しか残っておらず、肉眼や従来の観測機器では観察が困難だったものも含まれていた。
■LiDAR搭載ドローンで細かい地形データもキャッチ
この調査に用いられたのは、大疆の禅思L2高精度空撮LiDARシステムを搭載した経緯M300 RTKドローン。禅思L2システムは微細な地形の特徴を忠実に再現できるほか、植物の中をすり抜けて地上の情報を取得し、隠された遺構を発見することができる。プロジェクトチームはDJIのアプリを用いてマッピング飛行コースを作り、飛行高度130メートル、飛行速度秒速8メートルで、点群密度を1平方メートルあたり150個に設定してドローンを飛ばした。
■従来は5時間以上かかった作業が1時間弱で完了
従来の人手による調査では大量の人力と時間が必要で、林の中にある遺跡では何人もの調査員が作業を行って1つあたり5〜6時間はかかったという。しかも収集できるデータには限界があるため、完全な形での遺構のモデリングは到底望めなかった。これに対して、LiDARを搭載した無人機による遺跡調査では必要な人手はわずか2人で、しかも1つの遺跡あたり30〜60分でデータ収集作業が完了。しかも精度の高いモデリングまで実現できる。
今回の調査では文化遺産保護分野におけるドローン技術の大きな利用価値が改めて示される形となった。歴史的な遺跡や遺構が数え切れないほど存在する広大な中国でドローンやLiDARといったハイテクを用いた考古学調査が日常的に行われるようになれば、これまででは成し得なかった学術界の常識を覆すような世紀の大発見が起こるかもしれない。また、何の変哲もないように見える草むらから古代の遺跡が見つかるなんてこともありそうだ。
(出典:https://news.zol.com.cn/858/8582870.html)
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