日常使用するメガネとそっくりなデバイスを装着して命令すれば、翻訳機やプロンプター、カーナビに早変わりして目の前に情報を表示してくれる。そんなAR(拡張現実)ゴーグルの大量普及につながる新たな製造技術を、江蘇省南京市にある東南大学の研究グループが開発した。
■見た目は普通のメガネだが…
このゴーグルは、同大学電子科学・工程学院教授でディスプレイ研究院院長の張宇寧氏率いる研究チームが企業と共同で独自に開発したもの。重さはわずか45グラムで、外観は日常的に使うメガネと同じ。しかしよく見てみると、レンズの内側に薄いフィルムが装着されている。このフィルムこそが新技術の「キモ」なのだ。
■「フィルム」を巡る3つのブレイクスルー
これまで世界の多くのメーカーがフォトポリマーを利用したフィルムによるARゴーグルの前方投影技術を模索してきたが、フィルムの性能の低さが大きな課題となっていた。研究チームは液晶材料屈折変調度が従来のフォトポリマーの6〜10倍にあたる0.3にまで高めたフィルムの開発に成功した。屈折変調度により光学視野角が拡大することで、ユーザーの没入感が従来品より高まったという。さらに、高温多湿の環境でも安定して使えるように、液晶材料と補助材料のベストな配合比も見つけ出した。
また、新技術の開発に当たってはフィルムの3次元空間構造と、光学フィルム内に液晶材料を分布させる方法という2つの課題もあった。フィルムの構造については材料の自己組織化に3次元空間構造を形成し、特定の屈折率空間分布をを実現売る方法を開発。液晶材料の分布については偏光体積グレーティング(PVG)という手法を採用し、光伝送効率を大幅に高めた。これにより、消費電量を削減しながら輝度の向上、後方散乱や虹彩現象の抑制を実現した。
■コストの大幅削減、量産化への期待
張氏によると、PVG技術によるレンズを用いたARゴーグル技術は、現在広く用いられている表面レリーフグレーティング(SRG)技術に比べて製造コストを60%削減できるという。研究チームの研究成果は現状実験室段階であるものの、今後実用化が実現すれば低コストによる大量生産、そしてARゴーグルの急速な普及につながる可能性を秘めている。研究チームはすでに、大手メーカーと提携して自動車内での使用を含めた新しいARディスプレー商品の開発を進めている。
(出典:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1816132756343795275)
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