中国科技大学の研究チームはこのほど、電磁波と熱に強い二重保護材料の研究成果として、高性能な新型エアロゲル材料の開発に成功した。中国科学院院士(アカデミー会員)である同大学の兪書宏教授が主導した研究で、研究結果は国際学術誌「アドバンスト・マテリアルズ」で発表された。
■電磁波と熱を同時に防ぐ素材開発における大きな課題
電磁波汚染と熱損傷は精密機器に深刻な脅威をもたらす二大要素とされており、特に航空宇宙分野では顕著となる。機能性エアロゲルは電磁波を吸収するとともに熱を遮断する能力も持つため、精密機器の安全性を確保する上で格好の素材と言える。しかし、電磁波と熱の両方を同時に防ぐ上で、これまでの研究では見過ごされていた矛盾に直面した。熱の保護効果は材料の厚さと正の相関関係にあり、すなわち「厚ければ厚いほどいい」のに対し、電磁波の吸収では特定の厚さにおいてのみ最良の効果を発揮できる。こちらは「厚すぎても薄すぎてもダメ」であり、既存の研究では両者のバランスがなかなか取れずにいた。
■問題を解決したのは「機能性炭素バネ」
兪教授率いる研究チームはこの大きな問題を解決するため、機能性炭素バネ(FCS)と呼ばれる炭素ベースのエアロゲル材料を設計した。このFCSは長周期ラメラ多アーチ微細構造により調整可能なマイクロ波吸収性能と優れた断熱性能を実現。電磁波の吸収については圧縮歪みを変化させることで「オン・オフ」のスイッチングが可能であり、熱保護性能については超低熱伝導率と「面内では高熱伝導率、面外では低熱伝導率」という異方性熱伝導メカニズムにより優れた熱保護機能を備えている。数値シミュレーションではFCSが一般的なハニカム構造や等方性多孔質エアロゲルよりも優れた熱管理機能を持つことが実証された。
この研究は電磁波吸収と熱保護特性に優れた多機能エアロゲル材料の開発を制限する問題を明らかにした上で、新たな設計パラダイムを提起した。研究チームはまた断熱材料のデータベースと「電磁波―熱」の二重保護材料に関するデータベースも示しており、視覚的な性能比較の基準も提供した。新たに開発された素材は、ますます勢いを増す中国の宇宙航空分野のさらなる発展に大きく寄与することだろう。
(出典:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1815569580600665190)
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