ギリシャ神話に登場するイカロスは蝋で固めた鳥の羽根で大空を飛んだが、太陽の光で蝋が溶けて翼がバラバラになり墜落したと言われる。科学が進歩を遂げた今、太陽の光は翼を回し空を飛ぶエネルギーとして使われ始めた。
■太陽光ドローンは機体の小型化が大きな課題
中国の北京航空航天大学の研究チームは、独自開発の技術を利用して重さわずか4.21グラムという超小型太陽光動力ドローンを持続的に飛行させることに成功した。これまでにも太陽光をエネルギーとするドローンは数多く開発されてきたが、これほどの小さな太陽光動力ドローンが飛行に成功したのは前例がなく、業界が長きにわたって取り組んできた課題の一つだったという。
電動のドローンは電磁モーター使ってプロペラを回転させているが、現状では太陽光パネルのエネルギー転換率が低いため、大量の太陽光パネルを搭載できる大型のドローンでは十分なエネルギーを確保できる一方で、パネルの面積が制約される小型の機体では飛行できるほどのエネルギーを生み出すことができなかったのだ。また、モーターも小型化することで回転数が上昇して高温になりやすく、エネルギーロスが発生するという問題点もある。
■わずか4.21グラムの太陽光ドローンに隠された秘密
同大学の研究チームが開発した超小型ドローンの翼は約20センチと非常に小さく、太陽光パネルは機体底部に手のひらの半分ほどのものが2枚取り付けられているだけだという。同大学エネルギー・動力工程学院の漆明浄教授によると「キーは動力システムにある」という。動力システムのエネルギーロスを減らし、太陽光パネルのエネルギー転換効率を高めるという課題に対し、チームは低い回転速度で発熱が少ない一方で高いエネルギー効率を実現する新型の静電モーターを開発し、4.21グラムの超小型ドローンを自然光の中で持続的に飛行させることに成功した。
研究チームは重さわずか1.13グラムの超軽量高電圧変換器を開発して、太陽光パネルによって生じたエネルギーの電圧を4.5ボルトから9000ボルトにまで高めて静電システムを作り出した。静電モーターは冬にセーターなどの服を着ると生じる静電気と同じように、数千〜1万ボルトの高い電圧を発生させ、少ない電流で回転させることができるという。電荷が少なく電流が小さいことから、生じる電力量も少ないため、人体にはほぼ影響はない。
自然光だけで飛行することができ、持ち運びも非常に便利な超小型太陽光動力ドローンは、今後さらなる研究によって航続能力などの性能が高まれば、救援活動や狭い空間の検査や測量などさまざまなシーンでの応用が期待できる。
(出典:https://sghexport.shobserver.com/html/baijiahao/2024/07/19/1381811.html)
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