中国北京市の清華大学の研究チームが先日、ハイドロゲルの弾性力学においてブレイクスルー的な研究成果を得て、従来よりもはるかに大きな二軸伸張性を持った超弾性ハイドロゲルの開発に成功した。
■従来のハイドロゲルの伸張性は…
これまでハイドロゲルやゴムは、材料の架橋(高分子どうしが化学結合する反応)が不均一なこと、架橋点の数による制約などから、通常は一軸の最大可逆変形は800%未満にとどまっていた。また、ポリマー鎖が2つの方向に伸びる二軸変形は共有結合架橋などによって著しく制限されるという問題があり、より大きな可逆二軸変形を実現するにはこの問題を解消する必要があった。従来のハイドロゲルの可逆二軸変形はおおむね2500%未満であるという。
■大きな伸張性を実現する構造を発見
今回の研究では、小さな荷電ビーズを細長いひもでつなげたビーズチェーン構造を持つハイドロゲルが、自由接着鎖構造のハイドロゲルよりも大きな弾性変形を得られることを発見。ハイドロゲルの含水率を下げることで高分子電解質アルキル鎖間の疎水的相互作用と荷電基間の静電的相互作用のバランスを調整し、最終的にビーズチェーン構造を持つハイドロゲルを得た。
■容積の1000倍の空気で膨らますことも可能
そして、可逆一軸変形では最大1500%、可逆二軸変形では最大10000%という、従来のものよりはるかに大きな伸張性を持つ超弾性ハイドロゲルの開発に成功した。このハイドロゲルで作られた空気圧デバイスには元の空洞容積に対して1000倍の空気を充填することができ、しかも空気を抜いて収縮させるとわずか数秒で元の大きさに戻った。
高分子物質が水を含んでゲル化したハイドロゲルは、人工皮膚や人工骨など再生医療材料をはじめとする様々な分野での応用が期待されている。従来よりも大きく伸ばすことができ、なおかつ元のサイズに速やかに戻るハイドロゲルの開発は、ハイドロゲルの利用価値をさらに高めることにつながりそうだ。
(出典:https://www.tsinghua.edu.cn/info/1175/110635.htm)
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