6月には北京市で40度以上を気温記録するなど、中国では早くも猛暑の夏を迎えている。そして猛烈な暑さとともにこの時期とても気になるのが、強烈な日差しによる肌へのダメージだ。健康意識の高まりに合わせて、中国の日焼け防止市場は急成長を遂げており、さまざまなブランドが多種多様な日焼け防止ウェアを発売している。
今年の春から夏にかけて、中国のECプラットフォーム・天猫(Tmall)における日焼け防止用品の新規販売規模は昨年の2倍になり、日焼け防止カテゴリのブランド数も昨年の1.5倍に増えた。そして6月18日のECセール期間におけるアパレル系日焼け防止用品の新規販売数は前年同期比2.8倍、消費者1人あたりの日焼け防止ウェアの購入点数も過去の2~3倍となったという。また、日焼けを恐れているのは女性消費者だけではないようで、「618」期間における同プラットフォームの日焼け防止ウェアGMV(流通総取引額)トップ10のうち、6商品が男性または男女共用だったとのことである。
また、2022年に実施したホワイトカラー層を対象とした日焼け防止ウェア1着にかける値段に関する調査では、100〜149.9元(約2000〜3000円)が30.4%と最も多く、次いで60〜99.9元(約1200〜2000円)、150〜199.9元(約3000〜4000円)となっている。手頃な値段のウェアが好まれる傾向にあるようだ。
華経産業研究院が発表した報告」によると、中国の日焼け防止アパレル産業の市場規模は2016年の459億元(約9200億円)から22年には675億元(約1兆3500億円)と年平均5.9%の成長を記録し、23年には前年比約10%増の742億元(約1兆4800億円)に達する見込みだ。
ますます拡大する日焼け防止ウェア市場の状況を見て、アウトドアスポーツやファッションに重点を置くアパレルブランドが続々と市場に参入している。そして、競争が激しくなる業界内で差別化を図るためにさまざまな「ブラック・テクノロジー」を採用した日焼け防止ウェアが開発され、中には1000元(約2万円)を超える高級品まで発売されている。
また「ヒアルロン酸保湿」「蚊よけ」「抗菌」 「ナノレベルの日焼け止め繊維」「キシリトール」などさまざまな付加的な機能性や効果のアピール合戦が業界内で繰り広げられており、いわゆる「内巻」(不毛な内部競争)状態に入りつつある。ただ、消費者の話を聞くと、目新しい機能や効果よりも、「見た目が良いか」「着心地が良いか」「日焼け防止効果や通気性はどうか」というごくごく基本的な部分が商品選びの重要ポイントのようである。
業界関係者によると、日焼け防止ウェアの着用シーンは比較的単一で差別化を図るのが難しいため、現状では業界に絶対的なリーダーは存在せず、強いマーケティング力を持つ企業が中心となってシェアを奪い合っているという。この分野で確固たる地位を築き上げるには、鋭い洞察力を持って市場を観察し、文化的シンボルや感情に訴えるブランドやデザインづくりといった、製品の機能以外の属性まで包括的に捉えることが求められるとのことだ。
(出典:https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_23723573)
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