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2017.11.28
中国と日本の意外と知られていない「温州みかん」の話

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この時期、お店にはたくさんのミカンがならんでいますよね。その中でも「温州みかん」は皆さんにもなじみ深いミカンなのではないかと思います。

 

実は最近ある番組からの依頼で、「温州みかん」のリサーチさせていただき、意外な事実を知りました。中国からわたってきたということで調べはじめたのですが、もともと中国には「温州みかん」というミカンはなく、「温州」という名前がついてはいるものの、温州とはただの原産地にすぎず、実は瓯柑(おうかん)というミカンが日本に最初にわたってきたミカンでした。そしてこの瓯柑こそが、後世、中国と日本の文化・経済交流の懸け橋となり、両国の間で「温州みかん」の物語を紡いでいったのでした。

 

 

 

15世紀初頭、日本の智慧という天台宗の僧侶が国清寺(浙江省天台県)へ参拝し、温州から船で帰国しました。この僧侶は温州滞在中に欧柑を食べてそのおいしさを知っていくつか日本の鹿児島にある長島村の寺院へ持ち帰っていました。そして寺院で僧侶たちが瓯柑を分け合って食べた後、瓯柑をそのまま庭に放置したところ、翌年の春に思いがけず芽を出し、数年後には木になり、花を咲かせて実を結びました。

 

後に、これらの欧柑の木の中で種なしの実をつけるものが発見され、接ぎ木の方法で何度か改良が加えられた結果、種なしみかんの新しい品種が開発されました。温州の瓯柑を起源とするものであることから、これは「温州みかん」と名付けられ、日本国内で広く栽培されるようになっただけでなく、国外にも輸出されるようになりました。

 

浙江省天台山国清寺(ネット写真より)

 

瓯柑は温州の特産品で、1000年以上前から栽培が始まりました。三国時代にはすでにその名が知れ渡っており、かの曹操が永嘉(浙江省温州市永嘉県)まで部下をみかん採りに行かせたという話も残っています。唐の時代には、瓯柑はさとうきびや織物とともに朝廷への献上品とされ、その後も著名な詩人の詩にもうたわれるなど、中国の歴史上にたびたび登場しています。宋の時代、瓯柑にはすでに種なしまたは種の少ない「乳柑」という品種が見られるようになりました。しかし中国では、この「乳柑」を種なしの「温州みかん」にまで育てられませんでした。

 

日本で400年余りの時を過ごした後、温州みかんは、やっと中国に戻る機会をあたえられました。『瑞安文史資料』第9集の記載によると、1911年頃、瑞安市務農会は訪日留学生で瑞安(浙江省温州市瑞安)出身の許璇氏にみかんの優良品種の導入を依頼。1913年、彼が卒業する際、東京付近で種なし温州みかんの苗を購入し、瑞安に持ち帰って瓯柑の品種改良に用いられました。これが温州みかんの初めての里帰りでした。

 

中国の温州みかん(ネット写真より)

 

その後、1916年から1917年にかけて、平陽(浙江省平陽県)の黄朔初氏が日本からの帰国時に、日本の興津園芸場と兵庫県川辺郡稲野村の温州みかんの苗を持ち帰り、平陽鄭楼や郊外の九山湖畔、将軍橋のたもとに植え、次第に栽培規模が拡大し、温州みかんは中国のみかんの新しい品種となりました。現地には今でも二代目の古いみかんの木が残っているそうです。

 

さらに、1930年代初頭には、浙江省と湖南省の園芸商人が日本から次々と温州みかんの優良品種を導入し、黄岩や邵陽などの地に原産の母樹が残されています。1956年、中国農業科学院柑橘研究所も、日本から12種類の温州みかんの新品種を導入し、科学的研究も加え、さらに改良が進みました。

 

中国からやってきて、日本で改良され、そしてまた中国に戻り、そして世界に広がっていって「温州みかん」。日中の交流の中で、今日、温州みかんはミカンの大家族の中で最も勢力がある品種の一つに成長し、台湾島からチベット高原、五指山麓から漢中盆地、また世界各地に至るまで、どこにいてもその美しい姿が見られるようになっています。

 

ミカンのリサーチのきっかけで、意外な日中関係の歴史を知り、とても面白く、勉強にもなりました。さて次回どんな面白いリサーチがご依頼されるか、本当にわくわくしています。

 

(情報源:https://baike.baidu.com/item/%E6%B8%A9%E5%B7%9E%E8%9C%9C%E6%A9%98#10

 

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