2022年11月、上海で開催された中国国際輸入博覧会(輸入博)は、海外ではあまり知られていない中国の地方特産品や伝統工芸品などを広くアピールできるプラットフォームとしても活用されている。
例えば、宋代の酒造りの方法を研究して創り上げた醸造酒・「藍橋風月」もそのひとつで、輸入博・浙江省のブース「霊動浙江」に参加、「伝統×創新(イノベーション)」商品として、中国国内の媒体でも紹介されて話題となった。
2022年輸入博へ出展した醸造酒「藍橋風月」
輸入博期間中、中国紅曲(紅麹)酒・南宋酒文化遺産保護兼伝承者である江亮(ジャン・リャン)さんがブースに立ち、来場者に熱心に宋代(西暦960年〜1279年)の酒文化を紹介した。
宋代のお酒を現代へ〜創新を続ける江亮さん
「現代にぜひ宋代の酒を味わう機会を創りたい」と、長年にわたり、「宋酒」の“復活”を研究している江亮さん。その鍵となる「原料、酒曲(酒麹)、花香(花の香り)」について現代の酒造り技術を融合させ、自身の経験を活かした研究や実験をかさね、試行錯誤の上、完成させたのが「藍橋風月」シリーズである。次世代に引き継ぐべき、形のない伝統の技として、杭州(浙江省)の無形文化遺産(非物質文化遺産)にも認定されている。
輸入博期間中、浙江省ブースで宋代の酒文化を紹介
江亮さんの熱い想いがこもったこの「藍橋風月」は、「黄酒」の一種で、宋代では「梅花酒」と呼ばれていた味を再現している。蓋を開けたときに花の香りがほのかに漂い、口に含めると、甘い花の香りがフワッと口の中に広がる。ただ、決してしつこい甘さではなく、コクがあって口当たりが良い。ちなみに「黄酒」は、中国の米を原料とする醸造酒で、日本でもよく知られている「紹興酒」も「黄酒」のひとつだ。
宋韻文化が体験できる南宋酒芸館(浙江省)
中国の酒文化の歴史は長く、世界で最も早く酒の醸造が始まった国だと言われ、種類も豊富だ。日本では「宋酒」という言葉はあまり馴染みがないかと思うが、宋代は酒の醸造が盛んで酒文化が栄えた時代とも言われている。
輸入博への出展を通して、「中国の伝統文化に関心のある多くの来場者と交流ができた。今後も宋代の文化をさらに広めていきたい」と語る江亮さんは、杭州(浙江省)に「南宋酒芸館」を設立している。
笑顔で来館者を迎える江亮さん(浙江省・南宋酒芸館)
おりしも、近年は若者世代に「国潮(中国伝統文化の要素と現代のトレンドを融合した商品やスタイル)」ブームが巻き起こっている。各地の無形文化遺産や「国潮」文化が注目を集めていることもあり、「藍橋風月」ブランドの今後の「跨界合作(クロスオーバー・コラボレーション)」も楽しみである。
南宋酒芸館:浙江省杭州市上城区打銅巷35号
参考:
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1724644621646015716&wfr=spider&for=pc
https://new.qq.com/rain/a/20221117A01GQZ00
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