■中国で相次ぐマンション火災の原因は…
中国ではここ数年、電動自転車などのリチウムイオンバッテリーをマンションの部屋や廊下、エレベーターに持ち込むことによる火災が相次いで発生し、大きな問題となっている。2月23日には江蘇省南京市のマンションで、建物内に置かれていた電動自転車を火元とする大規模な火災により15人が死亡する惨事が起き、各都市でマンション構内への電動自転車持ち込みを禁止する動きもある。
■上海などで進むエレベーターの「スマート」化
多くの市民が電動自転車による火災のリスクに大きな憂慮を抱く中で、上海市では多くのマンションで電動自転車の持ち込みを止める「スマートエレベーター」の導入が進んでおり、すでに同市内にあるエレベーター8000台が「スマート化」しているという。
「スマートエレベーター」はエレベーター内外にAI機能付きの監視カメラを設置しており、利用者が電動車を押しながらエレベーターに乗り込もうとする様子を捉えるとドアが閉まらなくなる。同時に「電動自転車をマンション内に持ち込むと安全事故を引き起こす要因になります。電動自転車をエレベーターに持ち込まないでください」という音声が流れ、電動自転車が離れると音声が止まりエレベーターの運転が再開する。
■地域全体の監視体制も整備
また、同市内では個々のエレベーターで電動自転車対策が取られると同時に、地域全体の統括的な監視システムも導入している。青浦区重固鎮福貿路では鎮内にある3つのマンション団地に設置されている「スマートエレベーター」91台の監視状況をリアルタイムで表示するプラットフォームを構築し、大型ディスプレーで表示している。関係者は「今までコミュニティで管理が難しかった、団地内の電動自転車の駐輪やエレベーター乗り入れ、充電の安全措置といった問題に対し、目に見える形で細やかな管理を行うことができるようになった」と語る。
■住民や管理者からも歓迎の声が出るも…
マンションの住民からも「スマートエレベーター」を歓迎する声が。ある住民は「以前から電動自転車を家や廊下に持ち込んで充電する住民がいて、私たちも危ないとわかっていながら注意できなかった。今はスマートエレベーターが入口で注意してくれるのでとても助かっている」と語った。マンション管理会社の担当者も「これまでは電動自転車の違反駐輪台帳を作り、入居者組合のリーダーとともに日常的なパトロールを行い、建物に電動自転車を持ち込む住民を見つけた時には警備員を出動させていたが、それだけでは管理しきれなかった」と語り、従来は1日あたり70〜80件あった違反事案が、「スマートエレベーター」導入後から3か月ほど経った今では月に1件程度にまで激減したことを明かした。
マンションにおける電動自転車のバッテリー発火による火災の背景には、さまざまな要因が存在することが考えられる。「スマートエレベーター」による持ち込み制限は確かに対策の一つではあるものの、それで全てが解決できるわけではない。発火しにくいバッテリーの開発、発火しにくい充電や保管環境の整備、市民に対する正しく安全な利用の周知徹底なども合わせて進めてこそ、真の安全な電動自転車社会の構築につながるのではないだろうか。
(出典:https://www.workercn.cn/c/2024-03-13/8184229.shtml)
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