米国からの制裁を受けながらも、独自のSoCやOSを開発してスマートフォン事業を継続している中国の華為科技(ファーウェイ)が9月6日、新たなフラッグシップ機「Mate50」と「Mate 50 Pro」を発表した。発表会の中で、SoCをはじめとする各種スペックや、6枚の羽根による可変絞りを搭載した「非ライカ」カメラとともに注目を集めたのが、ディスプレイ部分に初めて採用された中国製の「崑崙ガラス」だ。
発表会では、「崑崙ガラス」が世界で初めてスイスのSGSによる5つ星耐衝撃ガラス認証を取得し、「スマホの耐衝撃能力を10倍向上させる」能力を持つことが強調された。この「10倍」というのは通常のガラスに比べて10倍の強度ということであり、「スマホの頑丈なガラス」としておなじみの米コーニング社製の「ゴリラガラス」との対比ではないという。
また、発表会で披露された実験結果を見ると、65グラムの鉄球を1.2メートルの高さから落とした時に、中心部分を含むガラス板に亀裂が入らなかったほか、ガラス板の中心に320N(約32kgの物体の重量に相当)の圧力をかけたところ、やはりガラスは無事だったとのことである。実機に搭載されたガラスを使って実験したわけではないため、実際にMate50の画面に鉄球を落として同じ結果が得られるとは限らないが、容易には割れないということは想像できる。
この「崑崙ガラス」だが、ファーウェイが3番めの大株主となっている重慶市の特殊ガラスメーカーが製造したものだ。通常のガラス材料にレアアース酸化物を加え、熱処理とイオン交換により結晶のサイズが小さいガラスセラミックスを作り、機械性能と透過率を通常のガラスより大きく向上させたという。結晶のサイズは5〜60nmで、中間値の32.5nmで計算すると、「Mate50Pro」の6.74インチディスプレイに用いられる「崑崙ガラス」にはおよそ11兆5000億個の結晶がびっしりと詰まっていることになる。この微細な結晶が、結晶を持たない通常のガラスよりも遥かに高い強度を実現するのだ。
簡単に言えば、「崑崙ガラス」はイオン交換技術によって高密度な結晶を持つガラスセラミックスということなる。これはアップルのiPhoneが採用するゴリラガラスと原理としては同じだ。つまり、Mate50シリーズへの「崑崙ガラス」の採用が、ファーウェイをはじめとする中国製スマホが今や必ずしもゴリラガラスに代表される海外製ガラスを使う必要はなくなったということを意味するのだ。さまざまな重要技術の外国依存脱却、国産化を国策として進める中国で、また新たな「国産化」の一歩が踏み出されたことになる。
なお、ファーウェイは「崑崙ガラス」をMate50シリーズに採用するだけでなく、Mate30、Mate40、Mate50など10種類以上の古い端末についても、ディスプレイが割れてしまったときには「崑崙ガラス」に交換するという。
(出典:https://view.inews.qq.com/k/20220911A04BPG00?web_channel=wap&openApp=false&f=newdc)
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