近年、さまざまなメーカーからスマートグラスが発売され、注目を集めている。ただ、値段が非常に高かったり、音楽再生専用など機能が一部に限定されていたりなど、必ずしも「これさえあれば、なんでもできる」というものではない。また、VR(仮想現実)ゴーグルではないので、ゲームや映画の世界に足を踏み入れるような体験はできない。
そんな中、中国のスマートフォンメーカー大手の小米(シャオミ)が9月に単眼光導波路AR(拡張現実)スマートグラスを発表した。外観は普通のメガネそのものであり、先進のマイクロLED光導波路ディスプレイ技術を採用し、各種情報表示、通話、ナビゲーション、カメラ撮影、翻訳といった機能を搭載している。そして最大の目玉は、スマホとのペアリングを必要とせず、単体で作動することだ。
スマホで名を馳せ、スマート家電分野に乗り出して久しい小米が今度はスマートグラスのメーカーに「変身」……と言いたいところだが、小米にそのつもりはないようだ。今回発表した製品は市場の反応を見ること、株主や消費者に小米の高い技術力をアピールすることが主眼に置かれているという。そして、小米の内部ではこの製品を「スマートグラス」ではなく「情報ディスプレイ」と呼んでいるとのことだ。
なにはともあれ、小米の意欲的な作品によってスマートグラスがスマホから「独立」する可能性が示された。しかし、現状ではまだまだスマートグラス技術が発展途上にあるため、当面は「スマホあってのスマートグラス」という状況が続きそうだ。
まず、アプリケーション部分をすでに技術が成熟しているスマホに委ね、スマートグラスの機能を視覚的な部分に絞るという分業化によって製造コストが下がり、ユーザーがより安価にスマートグラスを利用できるというメリットがある。節約したコストを製品開発に回すことができ、メーカーにとっても恩恵がある。
また、スマートグラス自体がまだまだ多くの人にとって「未知の体験」だという点も大きい。単体で使える高機能なスマートグラスを高い値段で売るよりも、スマホとの連携により低価格な製品を作ってさらに多くのユーザーに「新鮮な体験」としてもらう段階にあるのだ。そして、機能やスペックで目新しさを打ち出せなくなりつつあるスマホメーカーにとっても、スマートグラスとの融合はユーザーの新製品購買意欲を喚起する大きなチャンスになり得る。だからこそ、スマホメーカーである小米が率先してスマートグラスの開発に乗り出しているのだろう。
今後、スマートグラスがスマホから「独立」する日がいつやって来るのかは分からない。それ以前に、「独立」する日がやって来るのかも定かではない。「独立」のためには、スッと掛けるとたちまちゲームや映像作品の世界に足を踏み入れるようなVRの機能や、「スマホにできない、スマートグラスにしかできない機能」を実現することが必要だが、その目処は残念ながら立っていない。通話やカメラ撮影、音楽鑑賞など単なる「スマホの拡張ディスプレイ的メガネ」から脱却できるかが、今後のスマートグラス業界の発展を左右することになりそうだ。
アップルがiPhoneを出し始めたことに多くの人が感じた「ワクワク感」を、いつかスマートグラスが再現してくれることを楽しみに待ちたい。その「ワクワク感」を与えてくれるのは、もしかしたら小米のような中国メーカーかもしれない。
(出典:https://www.sohu.com/a/489744567_549351)
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