中国で昨年、キセノンガスを利用した「人肺ガスマルチパラメトリック核磁気共鳴イメージングシステム(MRI)」が初めて国の医療機器認可を受けた。この技術は中国科学院精密測量科学技術創新研究院(旧武漢物理数学研究所)が開発し、医療機器メーカーの上海聯影医療科技が実用化したもので、世界に先駆けて臨床現場に導入されており、重大疾病の治療に役立てられている。
■従来のMRI技術では、肺は「ブラックホール」だった
従来のMRIでは、人間の肺の画像は「ブラックホール」のような黒い空洞にしかならなかった。その理由は、空洞組織である肺の水分子密度が他の通常組織の1000分の1にとどまり、水分子を利用するMRIではイメージングが難しいからだ。このため、以下にしてMRIで肺の微細構造をさらに深く洞察し、ガスや血液の交換機能を非破壊的、定量的、かつ正確に評価できるようにするかが、世界的な研究課題とされてきた。武漢物理数学研究所では1980年代からこの課題に取り組み始め、30年以上にわたる絶え間ない研究の末にキセノンを用いたMRI技術の開発に成功した。
■キセノンガスの特性を活用した肺MRI技術
キセノンガスは不活性ガスで人体に無毒無害である上、不活性、脂溶性、化学シフト感度がよく、肺の血液や組織に溶解してそれぞれ異なる磁気共鳴信号を生成することができ、肺によるガスと血液の交換機能を探る上で大いに役立つという。新たに開発された「医療用キセノンガス発生器」は磁気共鳴信号を5万倍以上に増強し、肺の磁気共鳴信号の強度が低すぎて画像化できないという大きな問題を解決し、肺の微細構造、ガスや血液の交換機能の定量的、視覚的、無放射線測定を実現した。また、一連の画像処理技術によりデータ取得を高速化し、呼吸過程における肺の動的評価能力を大幅に向上させ、初期の肺病変をより明確に見ることができるようになった。
■すでに複数病院の臨床現場で利用
この医療用キセノンガス発生器とMRIシステムは、これまでに中国人民解放軍総病院、武漢同済病院、武漢金銀潭病院、武漢大学中南病院、湖北省腫瘍病院など、複数の一流病院や医療機関に配備されており、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息、放射線肺損傷、肺がんなど延べ3000人分の症例研究を実施済みだという。
(出典:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1781420180487642898)
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